保育園でのケガの対応や、子どもの内服。これって 医療行為 かな?と新卒保育士さんは疑問に思うことはありませんか?今回の記事では看護師から、保育士さんができる対応はどこまでなのかを簡単に解説します。
1. 医療行為 の基準とは
子どものケガの対応や、薬の管理などの 医療行為 。
看護師がいる保育園なら、看護師にお願いすることができます。
ですが看護師がいない保育園もありますよね。
「これって 医療行為 かな。保育士がやって良いことなのかな…」
と疑問に思う、新卒保育士さんも多いと思います。
医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。
引用:厚生労働省 「医行為」について
厳密にいうとケガの処置も、薬の管理や内服も、 医療行為 にあたるので、基本的には保育士さんが行うのはNG!
ですが、いくつかの条件を満たすことで保育士さんも対応できることがあるので、簡単に説明します。
2. 保育士さんはどこまでできる?
保育士さんが対応できる 医療行為 ではないことを法律に基づいて解説します。
【つめ切り】
子どものつめが伸びていると、ケガにつながりとてもキケン!
つめを切ってあげたいけれど、切ってしまっていいのかな…
と不安になることもありますよね。
健康な子どもで、つめの周りに異変がない場合は 医療行為 にあたらず、保育士さんでもつめを切ることは可能です。
ですが、慣れていない新卒保育士さんはつめを切るのもこわいですよね。
万が一失敗をして、出血させてしまった場合、トラブルにもなりかねません。
つめが伸びていることを保護者に伝えて、保護者につめを切ってもらうのがベスト!
【ケガの処置】
保育園での子どものケガは日常茶飯事。
保育士さんが子どものケガの対応をする場面は多いですよね。
軽いケガなら、保育士さんも処置をすることができます。
子どもがケガをしたら、流水で汚れを落とし、清潔なガーゼやタオルで拭いて絆創膏で保護をしてあげましょう。
そのときは、塗り薬を使ってはいけません!
『薬を塗る』という行為は 医療行為 になるので、医師や保護者の許可がない場合は塗らないようにしましょう。
出血の量が多かったり、子どもの体調に異変がある場合には、かならず受診をしてださいね。
【薬の内服】
保護者から子どもの内服をお願いされることもありますよね。
保育園で内服できる薬は、医師の指示に基づいた薬に限定されています。
その場合にはかならず、医師名、内服方法や薬の種類など詳しく記載された「与薬依頼票」を保護者に提出してもらいましょう。
あずかった薬の管理には十分注意して子どもの手が届かない場所に保管してください。
そうはいっても、たくさんの子ども達を保育士さんは見なくてはいけません。
いそがしい中での内服は飲み忘れや、人違いなどのトラブルも起こりかねません。
緊急時以外の薬は、可能な限り保育園で内服をしなくていいよう1日2回に変えてもらうなど、保護者に事前に周知しておくといいと思います。
内服ミスがないように、薬を一包化してもらうと安心です。
塗り薬や座薬に関しても同様に、医師の指示や保護者の同意が必要です。
保護者から医師の指示のない市販薬を依頼された場合には説明をして、お断りをしましょう。
【湿布を貼る】
湿布も外用薬のため、薬の一種です。
医師の指示や、保護者の同意がなければ保育士さんは使用することはできません。
子どもが足や腕をぶつけて、痛がっている…
そんなとき、湿布を貼ってあげたくなる気持ちもわかります。
ですが、湿布を貼るのも 医療行為 !
その場合は、保冷材で冷やすなどして様子を見るようにしましょう。
あまりに痛みが続く場合には、受診をしてくださいね。
3. トラブルをさけるために
今回は 医療行為 の基準と、保育士さんがどこまで対応できるかを簡単に解説しました。
保育園によって、対応できることが変わってくると思うのでかならず、保育園のマニュアルなどを確認するようにしてくださいね。
保護者からお願いをされても保育士さんでは対応できないこともたくさんあります。
保護者によっては、「このくらいやってくれてもいいのに…」
と思われてしまうかもしれません。
ですが、子どもの安全を保つのが保育士さんの仕事。
むやみに対応をすると法律違反になり、トラブルにもつながります。
医療行為なのか、そうでないのかの判断はとてもむずかしいです。
事前に保護者に、「保育園でできること・できないこと」をしっかり周知して協力を得ることが大切です。
保育士さんができることの範囲で、対応してあげてくださいね。