夏になると、「給食をほとんど食べない」「いつもは完食するのに残してしまう」といった子どもの姿が見られることがあります。暑さによる一時的な食欲低下であれば心配しすぎる必要はありませんが、なかには脱水や体調不良が隠れていることも。 この記事では、栄養士の視点から、夏バテで食べないこどもの見極め方や保育園でできる食事の工夫、保護者への伝え方についてわかりやすく解説します。
1.夏バテで食べない子ども、どこまで様子を見ていい?
暑さで食欲が落ちるのは、幼児によく見られる夏バテの症状です。
水分がしっかり摂れていて元気に遊べている場合は1〜2日程度は様子を見ても問題ないことが多いでしょう。
一方で、水分も受け付けない、ぐったりしている、半日以上おしっこが出ない、高熱や嘔吐・下痢を伴う場合は、脱水症状などの可能性もあるため早めに医療機関を受診することが大切です。
まずは保育士が確認したいポイントです。
確認ポイント
・機嫌はいい?
食欲が落ちていても、機嫌がよく普段どおりに遊べていれば、しばらく様子を見てもよいことが多いでしょう。
一方で、遊びたがらない、機嫌が悪い状態が続く場合は、夏バテや体調不良の可能性があるため注意が必要です。
・水分は飲めている?
水分がしっかり飲めていれば、食欲が一時的に落ちても慌てる必要はありません。
反対に、水分もあまり摂れていない、口の中が渇いているなどの症状があれば、脱水の可能性があります。
・排尿はある?
排尿が普段どおりにあるかは、脱水の有無を確認する大切なポイントです。
おしっこの回数が少ない、色が濃い、半日以上出ていない場合は、注意が必要です。
・発熱・嘔吐・下痢は?
食欲不振に加えて、発熱や嘔吐・下痢がある場合は、夏バテでなく感染症などが原因の可能性もあります。
症状があるときは早めに保護者へ伝え、受診を検討しましょう。
2.こんな様子があれば早めに相談・受診を
夏バテによる一時的な食欲不振であれば様子を見ながら過ごしますが、次のような様子が見られる場合は、早めに保護者に伝え、医療機関への相談・受診を勧めましょう。
受診をすすめるケース
・水分がほとんど飲めない
・ぐったりして元気がない
・半日以上排尿がない、尿の色が濃い
・発熱や嘔吐、下痢を伴う
・食べられない状態が長く続く
「いつもと様子が違う」と感じたら、無理に食事を進めるのではなく、子どもの体調を優先して対応することが大切です。
3.「食べない…」そんなときにできる保育士さんの工夫とは?
◆無理に食べさせなくても大丈夫
夏バテで食欲が落ちているときは、無理に食べさせる必要はありません。
無理強いすると、食事そのものが嫌になってしまうこともあります。
大切なのは、完食を目標にしないことです。
まずは水分補給を優先し、子どもの体調に合わせて少しでも食べられるものを無理なく取り入れましょう。
◆食べやすくする工夫
夏バテで食欲が落ちているときにはそうめんやうどん、スープ、果物など、のどごしのよいメニューは食べやすい傾向がありますが、保育園では献立を変更することは難しいため、「何を食べるか」ではなく、「どう食べるか」を工夫することが大切です。
例えば、最初は少量ずつ盛付けることで子どもの「食べられそう」という気持ちを引き出せます。
また、汁物を先に飲んで口を潤したり、食べやすいおかずから食べ始めたりするのもおすすめです。
さらに、室温を快適に保ち、落ち着いて食事ができる環境を整えることも食欲アップにつながります。
完食を目標にせず、「一口でも食べられたらOK」という気持ちで見守ることが、子どもの負担を減らし、食欲の回復を後押しします。
4.保護者に伝えるときのポイント
子どもの食事量だけではなく、水分摂取量や機嫌、活動量、排尿の様子など、その日の体調を具体的に伝えましょう。
例えば、「今日の給食は半分でしたが水分はよく飲めていて元気に遊んでいました」「食欲がなく、水分もあまり摂れず、いつもより元気がありませんでした」など、園での様子を具体的に共有すると、家庭でのケアや受診の判断につながります。
保護者が不安になりすぎないよう、子どもの様子を客観的に伝えながら、家庭での様子も確認し、一緒に見守る姿勢を大切にしましょう。
5.大人も子どもも夏バテを防ぐ過ごし方
夏バテを防ぐためには、毎日の生活習慣を整えることが大切です。
特に幼児は体温調整機能が未熟なため、大人以上に暑さの影響を受けやすいと言われています。
こまめな水分補給を心がけ、汗をかいたときには適度に塩分も補いましょう。
また、エアコンを上手に活用して室温を快適に保ち、十分な睡眠や休息をとって、疲れを翌日に持ち越さないことも大切です。
食事では、1日3食を基本に、主食・主菜・副食をそろえたバランスのよい食事を意識しましょう。
食欲がない日は無理をせず、食べられるものを少しずつ取り入れながら体力の回復をサポートします。
アイスや冷たい飲み物などを摂り過ぎると胃腸が冷え、食欲低下につながることがあるため、冷たいものの食べ過ぎ・飲み過ぎには注意が必要です。
家庭と園で子どもの様子を共有しながら、一人ひとりの体調に合わせて無理なく対応することが大切です。
残りの暑い夏を元気に過ごせるよう、毎日の水分補給や食事、十分な休息を心がけ、大人も子どもも夏バテを防止していきましょうね。