保育園で発熱をした子どもの対応をするとき、気をつけたいのが 熱性けいれん 。保育士のみなさんも 熱性けいれん を目の前にすると、あせってしまうかと思います。今回の記事では看護師の私から 熱性けいれん の症状や保育園での注意点を簡単に解説します。
1. 子どもの 熱性けいれん とは?
熱性けいれん は、生後6か月~5歳ぐらいの子どもに多くみられます。
発熱(通常は38.0℃以上)をきっかけに意識障害やけいれんを引きおこす病気です。
原因は明らかではありませんが、脳の発達が未熟な子どもが、急激に体温があがることで 熱性けいれん をおこすといわれています。
子どもの 熱性けいれん はめずらしい病気ではありません。
小さな子ども達とかかわる保育士さんも 熱性けいれん を目の当たりにすることもあると思います。
保育園での 熱性けいれん の対応を知り、保育に役立ててほしいと思っています。
2. 熱性けいれん の症状と保育園での対応
【症状】
熱性けいれん の症状
・急に手足をかたくして突っ張る
・名前を呼んでも反応がない
・手足をピクピクさせる
・目を見ひらいて焦点があわない、または左右にかたよっている
・全身の色がわるくなる(チアノーゼ)
・嘔吐
・失禁
熱性けいれん には『単純型 熱性けいれん 』と『複雑型 熱性けいれん 』があります。それぞれ、特徴がちがいます。
単純型 熱性けいれん
・発熱後24時間以内におこる
・全身性のけいれん(左右対称)
・5分以内でおさまる
・けいれんを繰り返さない
複雑型 熱性けいれん
・けいれんが15分以上続く
・けいれんが左右対称でない、または一部におこる
・一度の発熱で繰り返しけいれんがおこったり、発熱後24時間以降におこる
熱性けいれん の8割は単純型で、緊急性は低いです。
複雑型の場合は、けいれんを伴う病気(髄膜炎・脳炎・てんかんなど)の可能性もあるので、注意が必要です。
複雑型の症状にひとつでも当てはまれば、あわてずに救急車を呼びましょう。
【保育園での対応】
保育園で熱性けいれんがおきた場合、次のことに注意して対応しましょう。
ポイント
・熱性けいれん が起きた時刻とけいれんが止まった時刻を確認
・ほかの保育士さんやスタッフに声をかけ助けをもとめる
・名前を呼んで意識があるかを確認する
・衣服をゆるめ、吐物で窒息をしないように安全な場所に横向きで寝かせる
・5分以上、けいれんがつづく場合は救急車を呼ぶ
・けいれんが止まったあと、体温の測定をする
・症状が落ち着いたあとも子どもから目を離さず観察をする
【注意すること】
・ 熱性けいれん をおこしている子どもの口の中には、窒息の原因になるので絶対になにも入れてはいけません。
・けいれんが止まり、意識がハッキリしている場合でも、念のため保護者に連絡をして受診をすすめましょう。
・対象の子どもにとって初めての 熱性けいれん の場合はすみやかにに受診をしましょう。
・熱性けいれん を予防するために、けいれんを抑える薬(ダイアップなど)を預かった場合は、保護者や医師からしっかりと使うタイミングを聞いておくことが大切です。
・ 熱性けいれん の経験があるか、保育園で熱性けいれんがおこった場合の対応の方法をかならず保護者や医師に話を聞いておきましょう。
・ 熱性けいれん をおこした子どもが1歳未満の場合は、すみやかに受診しましょう。
3. 熱性けいれん を発見してもあせらずに!
子どもの 熱性けいれん を目の当たりにすると、あまりに急なことで保育士さんは不安になると思います。
まずは5分以内に症状がおさまるか。ということをおぼえておきましょう。
熱性けいれん が直接命にかかわることないので、保育士さんは一度深呼吸をして落ち着いて対応をするようにしてくださいね。
熱性けいれん を発見したら、子どもの状態を観察すると同時に、時間を確認することが大切になります。
一人で対応をするのはむずかしいので、周りにかならず助けを求めてください。
緊急時の対応は、保育士さん同士のチームワークがとても大事!
一般的な 熱性けいれん なのか、それともほかの病気が隠れているのかは病院での検査や医師の診察が必要です。
保育士さんがその判断をするのはむずかしいので、迷ったら救急車を呼ぶのが一番だと思います。
熱性けいれん は保育園でも十分おこりうる病気のひとつ。
病気の知識と対応を身につけて、頼れる保育士さんをめざしてほしいと思っています。
すこしでも保育士さんの参考になればうれしいです。