保育園でも、夏場に注意したいのが食中毒です。そこで今回は、代表的な食中毒の一つである カンピロバクター感染症 について解説します。カンピロバクター菌は、大人でも子どもでも感染する恐れがあります。保育士として、正しい知識を身につけておきましょう!
1. 夏場は カンピロバクター感染症 に注意
保育士を目指している皆さんこんにちは!
今回ご紹介したいのは、 カンピロバクター感染症 という代表的な食中毒についてです。
保育園などでも調理を担当する人は、知らない人はいない原因菌。
カンピロバクター菌は年間を通して発生しますが、ジメジメして気温も高くなる6月〜9月は発生件数も増えるため特に注意が必要です。
前回、私自身が子どもの頃に感染したことがあるサルモネラ感染症という食中毒についてご紹介しました。
サルモネラ菌は鶏の卵の殻に付着していることの多い、食中毒の原因菌でした。
対して カンピロバクター感染症 は生焼けなどの鶏肉が原因となります。
健康な大人の場合、軽症で自然に治癒することもありますが、乳幼児や高齢者、妊婦さんなどの免疫力の弱い方が感染すると重症化することも。
最悪の場合、命に関わることもある病気です。
そのため、今回は最も代表的な食中毒である カンピロバクター感染症 について一緒に確認していきます。
これからの夏に保育園でも注意したい食中毒について知っておきましょう!
2. カンピロバクター感染症 とはどんな病気?
カンピロバクター感染症 の年齢層のピークは10〜20代で、女性より男性に多い傾向があります。
一方で子どもの腸炎原因菌としても、約15〜25%で第1位を占めているため、保育士なら知っておきたい病気です。
入院の症例も10歳以下の子どもが多く、園児が感染すると入院して治療することも少なくありません。
【主な症状】
・下痢(入院患者の98%)
・腹痛(87%)
・嘔吐(38%)
・発熱、頭痛、悪心、悪寒、倦怠感など
発熱時の平均体温は38.3℃ で、高熱が出るサルモネラ感染症に比べるとやや低い傾向があります。
潜伏期間(ウイルスに感染してから症状が出るまでの期間)が、一般に2〜5日間とやや長いことが特徴です。
下痢は1日に10回以上にも及ぶことがありますが、通常2〜6回で1〜 3日間続きます。
大人でも子どもでも辛いですね。
治療は症状を和らげる対症療法を行います。
入院して食事療法や水分補給を行うと、たいていは自然に治癒していきます。
ですが大量の下痢で脱水症状を起こしたり、神経障害などの合併症を起こすこともあり、死亡例もあるので軽い病気と考えてはいけません。
カンピロバクター菌は、便の細菌検査で特定するのに一般的に3日間〜5日間くらいかかります。
そのため、正確性・迅速性のために遺伝子診断のPCR法などで診断します。
【原因と予防法】
カンピロバクター感染症 は、鶏や牛、豚などの体内に生息しているカンピロバクター属菌に感染することで発症します。
主な感染原因は、生や生焼けの鶏肉を食べてしまうことで起こります。
中でも市販の鶏肉は、高確率(60%)でカンピロバクター菌に感染しているというデータもあります。
鶏肉を冷蔵保存していてもカンピロバクター菌は生きることができ、少量の菌量でも発症してします。
ただし中心温度75℃以上で、1分以上しっかり加熱することで、カンピロバクター属菌は確実に死滅します。
また調理前の鶏肉を触った後の、アルコール消毒や手洗いも有効です。
当たり前のことですが、給食などはよく加熱し、保育園では調理師や保育士が調理や配膳の際にはしっかり手を洗うようにしましょう。
最近では、食育として子ども達が調理に参加する場合もありますよね。
子ども達が生肉などを触った場合は、こまめに手を洗うように指導してくださいね。
【登園制限】
カンピロバクター感染症 に感染した後の保育園への登園ですが、下痢や吐き気などの症状がなくなれば可能になります。
ただし症状が治まった後でも、便の中には菌が存在しています。
便の中の菌の感染力は、数週間以上続くことがあります。
またカンピロバクター菌は潜伏期間も長く、気づかないうちに感染者の便から感染してしまうことも。
そのため日頃からオムツ替えやトイレ掃除の後は、保育士も子どももすぐに手を洗うようにしてくださいね。
子どもの便に触れた手で、口や鼻を触って感染しないよう気をつけましょう!
3.保育士は正しい病気の知識を身につけよう!
いかがでしたか?
今回はこれからの季節に特に気をつけたい カンピロバクター感染症 についてご紹介しました。
カンピロバクター感染症 は、大人も子どもも感染する代表的な食中毒の一つです。
その約8割は、鶏レバーや鶏肉のタタキなどを扱う飲食店で起こっています。
保育士もプライベートで生の鶏肉や、焼き鳥などを扱う飲食店を利用することもあるかもしれません。
例え大人は軽症で済んでも、大人から子どもに感染させてしまうこともあります。
また、学校での事例もゼロではありません。
決して他人事と思わず、正しい病気の知識を身につけて、子ども達と保育士さん自身の健康も守ってくださいね。
未来の保育士さんを応援しています♪
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