保育士が保育中にピアスをするのは絶対にタブーだった時代。保育士になってから憧れだったピアスをし始めたことにより、園内にちょっとした波が立ち職員室がざわついた時のお話です。
1. 職員室で主任保育士に注意されたピアス問題
23歳の時、私の耳にはピアスホールがありませんでした。
イヤリングしかできないことにちょっとした不便さを感じていたのです。
今ではそんなことはありませんが、イヤリングよりピアスのほうがかわいいデザインが多い!と感じていました。
なるべく早くピアスをしたい!
しかし、ピアスを始めるために保育士として2つの壁がありました。
1つ目の壁…保育中の装着。
ピアスホールはふさがらないように始め1か月程度はピアスをし続けなければいけません。
その場合、子どもにひっかかりけがをさせる可能性があります。
また子どもに引っ張られるなど保育者自身のリスクも予想されます。
2つ目の壁…保育業界のタブー。
保育中にピアスをしている人は私が知る限り誰もいませんでしたし、安全面でも暗黙のルールがありました。
この2つの壁を、若かった私は無理やり超えてしまったのです…。
3歳児担任になった時、さすがに3歳となるとピアスを引っ張ったりしないよね?とチャレンジすることしました。
保育中、子どもに危害を加えないように気を付けたことは2つ
・キャッチが取れづらいモノを選ぶ
・小さくて飾りがないシンプルなデザインにする
また、業界のタブーを破ることになると認識していたので、ピアスを髪で隠れるようにしました。
しかしそれはあっという間に主任保育士の目に留まり、職員室で後輩たちがいる前で注意を受けることになったのです。
主任「先生、ピアスしているの?危ないし、やめた方がいいわよ」
私「はい、しかし取れづらく目立たないようなものを選んでいます」
主任「私たちの時代はピアスをしている人はいなかったけど…」
私「危なくないものを選んでいますし、TPOに合わせているつもりです」
主任「…もう先生には何も言わないわ」とみるみる顔がこわばった。
用意していた精一杯の反論でした。
学年主任は私に目をかけてくれており、その時まで関係は良好でした。
当時の私はわがままでもないし、常に自分の主張を貫くほうではありませんでした。
そのような私がかたくなだったのは「保育士だっておしゃれにしたっていいじゃないか」という強い思いがあったからなのです。
実際のところ、ピアスホールがすでにあるのならここまで意地を張りませんでした。
保育士であることが理由でピアスホールを開けられないというのが納得いかなかったのでした。
それ以降は主任との関係はぎくしゃくし、しばらく目を合わせてもらえませんでした。
2. 保育士が保育中にピアスなんてもってのほか。おきてを破った結果…
主任との険悪なムードは保育業界のタブーを破ってしまったのだからしょうがない…と思っていた時、複数の後輩から意外な言葉を投げかけられました。
「主任への反論がすごくすっきりしました!かっこいい!」
「見ていて気持ちよかったです」
当時の園は経験年数優先な部分があり、主任とそれ以外の保育士に年齢差があることでジェネレーションギャップが生じていました。
保育内容もしかり。そのような雰囲気にゆさぶりをかけたのが私のピアス事件だったのです。
驚くことに数日後、さらに追い風が吹きました。
職員会議の途中で園長が不意に「あら?ピアスしているの?」と全職員の前で私に聞いてきました。内心ドキドキしながらも見た目は堂々と「はい、そうです」と答えたところ「おしゃれでいいわね」と予想外の反応が返ってきたのです!
心の中で大きくガッツポーズをとった私。穏やかな方である私が、ここまで主張を通し続けた理由は、単に“保育中にピアスがしたいから”という理由ではありませんでした。
ピアスをするかしないかは個人で選択できる流れを作りたかったのです。
園長のひとことで今までの古い暗黙のルールがほんの少し緩んだ気がしました。
3. 保育士のピアス。リスクがあると知ってもあなたはおしゃれにこだわりますか?
これまでの話をくつがえしますが、保育中のピアスをお勧めしません。
特に0歳~2歳、またはピアスを認識できない子どもを保育する場合はやめましょう。
容易に想像できると思いますが、子どもにけがをさせる可能性がありますし、保育士自身の耳も安全ではないからです。
すでにピアスホールがある方は保育中だけは控えたほうが賢明でしょう。
保育士になってからピアスホールを開けたことが発端で、波乱を巻き起こした話をご紹介しました。
ピアスホールを開けたい方は保育士になる前に取り組んだほうがダメージを受けずに済むと思います。
改めてこの件を振り返ると「ピアスをするかしないかは取るに足らない小さなこと」と思う部分もありますが、若い時の私にとっておしゃれは重大なことでした。
保育内容や業務改善で風穴を開けたほうが素晴らしかったのに…と振り返りますが、若かった私にとっては精いっぱいのおしゃれ革命でした。
子どもは大人の服装やおしゃれを見ています。見た目は大切です!
保育士になってもTPOにあわせた安全なおしゃれを楽しんでくださいね。