保育実習でよく出てくる「ルールのある遊び」。ねらいはどう書けばいいの?と迷う学生さんに向けて、0〜5歳児の発達に合わせた遊び例と関わり方を年齢別にわかりやすく紹介します。記録に使えるねらいの例文や、実習での関わり方のヒントも充実しています。
「ルールのある遊びって?」
「ねらいは何?」
「年齢ごとにどう違うの?」
保育実習を前に、そんなふうに不安になることもありますよね。
でも、安心してください。
ルールのある遊びは、実は「ねらい」を立てやすく、日誌や指導案にも書きやすい活動です。
この記事では0〜5歳児の発達に合ったルールのある遊びとそのねらいを年齢別にわかりやすく紹介します。
保育実習での関わり方や記録に使える“ねらいの例文”もあるので、遊びの意味や声かけのヒントが見つかるはずです。
保育実習前の不安を少しでも減らし、自信を持って現場に臨めるよう準備していきましょう。
1.【保育】ルールのある遊びとは?
「ルールのある遊び」とは、“順番を守る”“交代する”“勝ち負けがある”など、あらかじめ決まったルールにそって楽しむ遊びのことです。
ルールを守りながら遊ぶことで、社会性や自己主張、感情のコントロールなどの力が自然と育っていく貴重な機会になります。
保育では、発達段階に応じて“簡単なルールのある遊び”から少しずつ経験を重ねていくことが大切です。
無理にルールを理解させるのではなく、「一緒に楽しむ」気持ちを大切にしながら関わっていきましょう。
2.【ルールのある遊び】年齢別のねらい・遊び例・実習生の関わり方
0歳児:やりとりの“はじまり”を楽しむ
・大人とのやりとりを通して“くり返しの楽しさ”や“予測”を感じ始める時期
・シンプルで展開のある遊びがぴったり
ねらいの例文
保育者とのやりとりを通して、安心感や楽しさを感じる
【遊び例】
・いないいないばあ
子どもの視界から一度隠れて「いないいない…ばあ!」と表情豊かに。
反応を見ながらタイミングや声の高さを変えると◎
・くすぐりあそび
子どもの様子を見ながら「こちょこちょ〜」と声のトーンを変えて、やさしく腕や足に触れましょう。
保育実習では
・表情や声のトーンを意識しながら、赤ちゃんの反応に合わせてやさしく関わろう
・「うれしい」「おもしろい」と感じる経験が、やがてルールのある遊びの土台に
1歳児:「順番ってなあに?」を感じ始めるころ
・「じぶんでやりたい!」気持ちが育ちはじめ、簡単な順番や交代の経験が少しずつできるようになる時期
・相手の存在を知り、まねっこや声かけを通して感覚的に楽しんでいる段階
ねらいの例文
順番や交代の経験を通して、簡単なルールに親しむ
【遊び例】
・ボール転がし
「いくよ〜」「ポーン!」と声をかけながらボールを転がす遊び。
受け取ったら「ありがとう」と返し、やりとりを楽しみましょう。
・順番を待つ遊び(室内滑り台など)
並ぶときに「○○ちゃんの番だね」と順番を言葉にし、すべったら「たのしかったね!」と共感します。
待っている子にも「もうすぐだよ」と安心を届けます。

保育実習では
・成功より「一緒に楽しんだね」を大切に
・ 取り合いになったときも、「○○ちゃんもやりたかったね」と声をかけよう
2歳児:ルール“っぽい”ことが楽しくなってくる時期
・ごっこ遊びややりとりの幅が広がり、簡単なルールに少しずつ触れられるころ
・気分や状況によって行動が変わりやすい時期
ねらいの例文
友だちや保育者と関わりながら、簡単なルールを理解しようとする気持ちを育てる
【遊び例】
・よーいドンで走る(戸外)
並んで「よーいドン!」と合図。ゴールで「やったね!」と迎え、走る楽しさと達成感を味わえるようにしましょう。
・お片づけゲーム(室内)
「赤い箱に入れよう!」と簡単な指示を出し、一緒に運ぶ。
終わったら「きれいになったね!」と達成感を共有します。
保育実習では
・「できた・できない」ではなく「楽しもうとした気持ち」に目を向けよう
・遊びがうまく続かなくても「今はこうしたいんだね」と寄り添う姿勢が大切
3歳児:ルールを“理解しようとする”はじめの一歩
・簡単なルールを理解しながら遊べるようになる時期
・気分によって行動が変わったり、勝ち負けに敏感になったりする姿も見られる
ねらいの例文
簡単なルールを理解し、友だちと一緒に遊ぶ楽しさを味わう
【遊び例】
・ころがしドッジ(戸外)
ボールを転がして当てるルール。
転がす側も受ける側も楽しさを共有できます。
・フルーツバスケット(室内)
最初は一緒に座って参加し、「りんごの人〜!」などと声をかけてルールを確認します。
迷っている子がいたら席を一緒に探しましょう。
保育実習では
・うまく参加できない子に、「ここで待ってみようか」「次は○○ちゃんの番だよ」と、視覚や言葉でサポート
・負けて悔しがる子には、「いっぱいがんばってたね」「次も楽しもうね」と寄り添う声かけをしよう
4歳児:ルールを守って“友だちと楽しむ”力が伸びるころ
・ルールを理解し、自分の順番や役割を守りながら友だちと一緒に遊ぶことを楽しめるように
・遊びの流れに合わせて行動する力や、友だちとの関わりがぐんと育つ
・勝ち負けに敏感になる子も多く、「負けて泣く」「悔しくて怒る」などの反応も見られるように
ねらいの例文
ルールを守って集団での遊びに参加し、勝ち負けを受け止める経験をする
【遊び例】
・氷おに(戸外)
タッチされた子はその場で固まり、仲間にタッチされると復活する遊び。
「助けてもらえたね!」と喜び合う気持ちを育てます。
・宝さがしなどの集団遊び(室内)
グループに分かれて宝を探す。
「どこにあるかな?」と仲間と相談し合う時間を楽しみます。
見つけたら全員で拍手しましょう。
保育実習では
・子どもたちが遊びの中で迷わないように、ルールの確認や「こうするんだよ」の声かけができると◎
・全体の様子を見ながら、困っている子や不安そうな子にもさりげなく寄り添いましょう
5歳児:自分たちで進める力と仲間意識が育つ時期
・自分たちで遊びを進めたり、トラブルを話し合いで解決したりする力も育つころ
・勝敗を意識し、遊びにも前向きに取り組む姿が見られる
・“どうすればみんなでうまく遊べるか”を子どもなりに考え始める大切な時期
ねらいの例文
自分たちでルールを守りながら、仲間と協力して遊ぶ喜びを味わう
【遊び例】
・ドッジボール(戸外)
試合前に「どう作戦たてる?」とチームで話し合う時間をつくる。
試合後には「作戦どうだった?」と振り返りも◎
・自分たちでルールを決めるごっこ遊び(室内)
「今日は○○をしよう!」と内容を子どもたちで相談。
ルール決めを見守りつつ、困ったときだけサポートします。
保育実習では
・子どもたちが主体的に動けている場面では、あえて一歩引いて見守ることも大切
・「みんなで考えられてすごいね」と、プロセスを認める声掛けをしよう
3.ルールのある遊びで子どもの成長を見守ろう
ルールのある遊びには、子どもたちの成長を支えるヒントがたくさんつまっています。
大切なのは、「ルール通りにできたか」ではなく、楽しもうとした姿に目を向けることです。
実習生のやさしいひとことが、子どもにとって「またやってみたい!」の気持ちにつながることもあります。
責任実習や部分実習で、ルールのある遊びに挑戦する場面があれば、今回紹介した年齢ごとの発達やねらいをヒントにしながら取り組んでみてくださいね。
年齢に合った遊びと関わり方を意識することで、実習でもきっと、子どもと一緒に楽しい時間が過ごせるはずです。
子どもの姿・気持ちに寄り添って、あなたらしい実習を重ねていってくださいね。
