保育学生のみなさん!保育実習の準備はできていますか?今回はそのまま使える5歳児の養護の具体的な内容を看護師の私からお伝えします。前編として4~9月までの具体的な内容を月別にご紹介するので、保育の目標を立てる時の参考にしてくださいね。
1.【保育】5歳児の養護のねらいは?
いよいよ保育園生活最後の一年ですね。今回は5歳児の養護の内容について看護師からお伝えします。
5歳児の養護のねらいは大きく三つ。
5歳児養護のねらい
・健康を維持するための習慣を身につける
・友達との関わりを通して協調性を育む
・自己肯定感を上げ、自信をつける
相手の気持ちを考えて話すことが増え、友達と意見がぶつかっても自分たちで解決しようとする姿が見られます。
保育士さんは、そんな子どもたちを優しく見守りましょう。
子どもたちだけで解決できないときにそっと手を差し伸べられるように、普段から信頼関係をしっかりと築いておきましょうね。
また、小学校入学に向けて難しいことに自ら挑戦する、自信が持てるような声掛けをすることがとても大事!
たとえば、箸があまり得意ではない子どもには、保育士さんが付き添い、持ち方を伝え一緒に食べてみましょう。
自分でできたときには「○○ちゃん、前よりもお箸上手になったね!」「できてるから、大丈夫だよ」と伝えてあげましょう。
うまくできないとき、叱るのは逆効果。
「また先生と一緒に練習しよう」「ゆっくり頑張ってみよう」と前向きな言葉がけを心がけましょうね。
できることが増えた、練習すればできるようになると伝えることで、子どもの自信につながりますよ。
2.5歳児の成長発達の特徴を理解しよう
次に、5歳児の成長発達の特徴をお伝えします。
養護の視点で保育するには、子どもの成長発達を理解することが大切です。
身体的成長発達の特徴
・筋肉が発達し、身長・体重がグンと増える
・体のバランスをとる脳神経が成熟する
・片足とびができる
・ブランコで立ち乗りをして、一人でこげる
・鉄棒の前回りができる
・スキップができる
・模倣体操ができる
・一人でなわとびができる
・ボールを投げたり、受け止められる
子どもによって得意、不得意があるため、子どもそれぞれの成長に合わせて遊びを考えましょう。
5歳児の遊びを考えるときのポイントは、少しルールが複雑な集団遊びがおすすめです。
ルールがあまり理解できない子どもには保育士さんが一緒に行うか、無理をせず他の遊びを提案してあげましょうね。
また、身長や体重が基準より下回っていても、運動機能が発達していて元気であればOK。
もし心配な場合は、先輩や看護師に相談しましょう。
精神的・知能的成長発達の特徴
・自我のコントロールができる
・年下の子に優しく接する
・思っていることを言葉で伝えられる
・発音がしっかりとする
・複雑なルールの遊びができる
・字を覚え自分の名前や、簡単な本を読める
・20ぐらいまで数えられる
身体的発達と同様に個人差があるので目安として理解しておきましょう。
5歳児は自我のコントロールができるようになりますが、つらいときに泣くのを我慢してしまうことがあります。
泣きたいのに泣けないのは、子どものストレスにつながるので「泣いてもいいんだよ」とやさしく伝えてあげましょう。
3.そのまま使える!5歳児の養護の内容を月別に看護師がご紹介
・4月|ついに年長♪子どもたちの不安に向き合おう
保育園で最年長となり、責任感を覚える時期。不安や緊張感を覚える子どもが増えます。
保育士さんは、子どもの不安と向き合い素直な感情を表出できるように信頼関係を築いていきましょう。
5歳児は、感情のコントロールができるようになる一方で、自分の感情を素直に出せない子もいます。
保育士さんは「悲しいときは泣いてもいいんだよ」と子どもが安心できるような声掛けをしましょう。
子どもの不安を解消することは、大切な養護の視点の一つです。
・5月|体調を崩しやすい時期!早期発見に努めよう
年長になり一ヶ月がすぎると、子どもたちは新しい環境に慣れてきます。
その反面、溜まっていた疲れから体調を崩すように…
一人ひとりの健康状態を把握し、体調に変化があった場合はすぐに対処しましょう。
5歳児のほとんどは自分の体調の変化を伝えられるようになります。
しかし個人差があるので、保育士さんは子ども一人ひとりをよく観察することが大事。
健康観察のポイント
・子どもの活気
・鼻水、咳、だるさなどの風邪の症状がないか
・顔色
・発疹
・食欲
このようなことに注意して、子どもの様子を観察しましょう。
・6月|歯磨きの大切さを伝えよう
歯には、食べ物をかみ砕いて飲み込みやすくする、滑舌をしやすくするなどの大切な役割があります。
虫歯になるととても痛いし、ご飯が食べられなくなってしまうなど歯の大切さを子どもたちに伝えることが大切。
絵本を活用したり、「歯を磨かないと、どうなっちゃうかわかる?」と質問形式にして子どもに考えてもらいましょう。
また、早い子は5歳から歯の生え変わりが始まります。
乳歯が虫歯になることで、永久歯が変色して生えてきたり歯並びが悪くなるなどの影響が出ることも。
「子どもの歯が虫歯になると、大人の歯も虫歯になっちゃうからしっかりと歯磨きしようね」と伝えましょう。
・7月|子どもが暑さを体感し、休憩がとれるよう見守ろう
熱中症とは何かを知り、自分で水分補給や休憩をとれるように保育士さんは見守りましょう。
外遊びの前に「かならずお茶を飲んでね」「暑くなったらお部屋に入って休もうね」と声掛けをしましょう。
遊びに夢中になると、水分補給を忘れてしまうため、はじめは水分補給や休憩の時間を決めるのもOK。
・8月|活動と休息のバランスを整えよう
5歳児は体力がかなりついて来る時期。
しかし夏の暑さから、体力が消耗し体調を崩しやすくなります。
体力を温存させるためにも一日を通してメリハリをつけた保育をしましょう。
体力を回復させるためにはお昼寝がとても大事。
眠れない子どもには「お布団でゴロゴロしているだけでもいいよ」と声掛けをして、静かに過ごすよう促しましょう。
・9月|衣服の調整を自分でできるよう見守ろう
9月は寒暖差が激しく、体調を崩すことが増えます。
暑い日は薄着になる、涼しい日は一枚着ることを伝え、子ども自身で調整ができるように見守りましょう。
保育士さんは子どもの顔色や、汗をかいていないかを見て、その都度声掛けをすることも必要です。
また、保育室内の温度や湿度の管理が難しくなる時期なので、適宜調整しましょう。
4.子どものペースに合わせて自立を促すことが大切
小学校入学に向けて、身の回りのことは自分で行う、協調性や自己肯定感を上げられるような関わりが5歳児には必要です。
自分でできたことをしっかりと褒め、自信につながる声掛けをしていきましょう。
成長発達、得意・不得意は子どもによって違います。
その子なりの頑張りを認めてあげることで子どもたちの自信になります。
養護の視点を理解して、子どもの成長を見守っていきましょうね。