2026.7.28
保育士の転職における給料交渉をスムーズに進めるコツと注意点
6View

保育士が転職する際、事前に給料の交渉を行うことは可能です。 なぜなら、保育業界は長年にわたり人手不足の状況が続いており、経験のある保育士の需要が高いためです。
また、働く前に給料や勤務時間といった条件をしっかり確認することは、働く人を守るための正当なルールとして法律でも認められています。 例えば、副主任などの役職経験がある場合や、専門的な研修を修了している場合、園にとってすぐに活躍できる人材として評価されやすく、交渉が前向きに進むケースがあります。
転職を機に給与アップを目指す場合は、思いつきで話すのではなく、正しい手順と準備を整えることが大切です。本記事では、給料交渉をスムーズに進めるための具体的なコツと注意点について解説します。
免責事項:本記事に記載されているデータや制度は公的機関の公表データ等に基づくものですが、個別の交渉の成功や特定の給与額を保証するものではありません。
- ✓保育業界の現状と、給料交渉が可能である理由
- ✓交渉を有利に進めるための事前準備(経験の整理や相場の調べ方など)
- ✓面接や内定後など、お金の話を切り出す適切なタイミング
- ✓交渉時に避けるべき金額提示や、注意すべきリスク
- ✓専門の人材サービスを活用するという選択肢
目次
保育士が転職時に給料交渉を進めることは可能
保育士が転職を考える際、事前に給料などの条件について交渉することは、制度や現在の働き手の状況から見ても正当な手続きとして認められています。その背景には、保育業界で長く続いている人手不足というデータがあります。
こども家庭庁が公表したデータによると、令和7年(2025年)10月時点の全国の保育士の有効求人倍率は3.10倍です。「有効求人倍率」とは、仕事を探している人1人に対して、何件の求人があるかを示す数字です。これは全職種平均の1.20倍と比べると約2.58倍となり、保育士を求める園が多いことがわかります。
また、法律のルールでも条件の確認は大切にされています。労働基準法第15条第1項により、企業は人を雇う際、給料や働く時間などの「労働条件」をはっきりと示す義務があります。このルールは働く人を守り、後から「言っていたことと違う」というトラブルを防ぐためのものです。働く前に条件を確認し、自分の経験に基づいた提案を行うことは、働く人に認められた手続きです。
出典)保育士の有効求人倍率の推移(全国)|こども家庭庁
出典)令和6年4月から労働条件明示…|厚生労働省
転職時の給料交渉で希望が通りやすいケース
給料の交渉において、園側が条件を受け入れやすいケースがあります。それは、国が定めている「処遇改善等加算」という給与アップのための手当がもらえる条件を満たしている場合や、主任などの役職経験、特別なスキルを持っている場合です。
こども家庭庁は、この処遇改善等加算の制度をより分かりやすくするため、令和7年度(2025年度)から新しい仕組みをスタートさせました。
特に高く評価されるのは、副主任保育士や専門リーダーなどの役職に就ける人材です。これらの役職に就くためには、各都道府県で行われている「保育士等キャリアアップ研修」を受講する必要があります。研修には「乳児保育」や「障害児保育」などの分野があり、これらを修了していると園の求める人材像と合いやすいため、条件の提案が通りやすい傾向があります。
保育士の転職で給料交渉を成功させるための3つのステップ
給料交渉をスムーズに進めるためには、思いつきで話をするのではなく、事前の準備と順番を守ることが大切です。
自身の経験やスキルを棚卸ししてアピールポイントを明確にする
交渉の基準を作るために、まずは自分の年齢や経験年数に合う「一般的な給料の相場」を正しく知ることが必要です。
厚生労働省の調査によると、保育士の平均年収は約406万8,100円となり、初めて400万円を超えました。年齢別の平均は以下の表のようになっています。
自分がこれまで何年働いてきたか、どのクラスを担当したか、得意な保育内容は何かを整理します。その上でこの平均データと比べることで、「なんとなく上げてほしい」という感情ではなく、具体的な数字を元にした説得力のある話し方ができるようになります。
出典)賃金構造基本統計調査(Excelダウンロード)|e-Start
希望するエリアの給与相場を事前にリサーチしておく
保育士の給料や、どれくらい人が足りていないかという状況は、地域によって大きな差があります。そのため、自分が働きたい地域の相場をあらかじめ調べておき、相場から大きく外れた金額を希望して園側とすれ違ってしまうのを防ぐ必要があります。
こども家庭庁のデータを見ると、令和8年1月時点の有効求人倍率(求人の多さ)は、例えば滋賀県が6.57倍、大阪府が4.27倍、兵庫県が2.72倍と、地域によって大きな違いがあります。
また、現場の状況として、関西エリアや東海エリアなどでは、自治体から独自の手当が出ることもあります。車通勤が多い地域では、交通費や駐車場代がどうなるかが、最終的に手元に残るお金に影響します。地域の情報を詳しく知ることが難しい場合は、当社の知見などを一つの情報源として活用するという選択肢もあります。
面接時や内定提示後の適切な切り出し方とタイミングを掴む
給料の話をする際、面接が始まってすぐに自分からお金の話題を出すことはおすすめしません。適切なタイミングは、園側から「条件についての希望はありますか?」と聞かれた時や、採用が決まる手前で「労働条件通知書」という書類を受け取る段階です。
この労働条件通知書は、2024年(令和6年)4月からルールが新しくなりました。働く場所や仕事の内容が、将来変わる可能性があるかどうかも、会社側がきちんと伝えることが義務付けられています。
このような手続きが進む内定のタイミングに合わせて、「前職の給与額を考慮していただけると幸いです」といった謙虚な言葉遣いで、希望の金額を伝えるのが基本的な進め方です。
保育士の転職で給料交渉を行う際の注意点とリスク
給料交渉は働く人の権利ですが、無理な要求や間違った伝え方をすると、採用を見送られてしまう可能性もあります。
相場から大きくかけ離れた無理な金額提示は避ける
自分の経験や、先ほど見た平均のデータから大きく離れた高い金額を求めると、不採用の原因になることがあります。園側も、決められたルールや予算の中で運営しているため、無制限に給料を上げられるわけではないからです。
こども家庭庁が定めた新しい「処遇改善等加算」の制度でも、園がお金を正しく保育士の給与アップに使っているか、自治体が厳しく確認するルールが決められています。
園の給与の仕組みの中で、どの程度なら相談に乗ってもらえそうかを探る、現実的な姿勢を持つことが大切です。
出典)令和7年度以降の処遇改善等加算について…|こども家庭庁
給料面ばかりを前面に出すと意欲を疑われる可能性がある
先ほど触れた「労働条件通知書」のルールが示すように、働く契約は「給料」だけでなく、「どこで働くか」や「どのような仕事をするか」という全体への同意があって成り立ちます。
そのため、「給料さえ高ければどの園でもよい」という態度を前に出しすぎると、保育の考え方(理念)に共感してくれる人を探している園からは、採用を見送られる可能性があります。
まずはその園の保育方針を理解し、どのように貢献したいかを伝えた上で、生活を支えるための一つの相談として、段階的に切り出すことが大切です。
条件交渉が不安な場合は保育専門の人材サービスを活用するのも一手
自分で直接、園と給料の交渉をすることに不安を感じる場合は、専門の人材サービスを間に挟むことで、角を立てずに条件の調整を行うという選択肢があります。
ベルサンテスタッフ株式会社が運営する「ほいコレ」は、1974年の創業以来、長年にわたり保育業界に特化してサービスを提供しています。
当社では、保育業界に詳しい「保育コンシェルジュ」が求職者と施設の間に入ります。
そして、見学への同行や、自分では言いにくい細かな給与・労働条件の調整をサポートします。
働き方に合わせた求人のご提案を行っていますので、現在の条件に悩まれている方は、ぜひ「ほいコレ」の求人検索機能をご活用ください。
実際に「ほいコレ」を利用しているかほり先生の事例のように、「結婚と転居のタイミングでコンシェルジュに相談し、希望のエリア(名古屋)の園へスムーズに乗り換えることができ、現在は子育てと両立しながら笑顔で働いている」といった、当社でサポートした実績が多数あります。一人ひとりのライフイベントや希望する働き方を丁寧にヒアリングし、自分では切り出しにくい条件面のすり合わせや見学同行を行うだけでなく、就業開始後も定期的に状況をお伺いして働きやすい環境づくりを継続的にバックアップします。
※掲載のエピソードは個人の事例であり、結果を保証するものではありません。











