2021.3.16
保護者対応の「NG言動」とは?保育士が知っておきたいクレーム対応術
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保育士の悩んでしまうポイントのひとつに「保護者との人間関係」があるのではないでしょうか。
避けては通れないものである一方、大きなトラブルにもつながりやすいことから、注意を払わなければいけません。
知らず知らずのうちにやってしまうと不信感につながりやすい言動など、保育士か意識しておきたい保護者対応のポイントをまとめてみました。
保護者対応はどんなときに必要?
まずは、保護者対応が必要になる場面から確認していきましょう。
保育士が保護者と向き合わなければならない場面の一例に、次のようなシーンが挙げられます。
◇施設内でケガをしたなど、トラブルがあったとき
◇お友だちとケンカをしたなど、子ども同士のトラブルがあったとき
◇保護者からのクレームがあったとき
◇保育施設側から保護者へ伝えなければならないこと、謝罪することがあるとき
◇保護者が保育園に対して要望・希望があるとき
このように、ポジティブとは言い難い理由によって対応が求められるケースも少なくありません。
内容によっては、普段の対応とは気持ちを切り替えて臨まなければならないでしょう。
また保護者対応の多くは、朝と夕方の送迎の際、限られた時間を使って行われます。
保護者によっては「忙しいんだから、早くしてよ!」と怒らせてしまうことにもなりかねないので、手短に終わらせましょう。
保育士が保護者対応時にしてはいけないこととは?
保護者対応をするときには、保護者はすでに保育士に対して不信感を覚えていることも少なくありません。
そのため、何気ない言動にも十分気をつけましょう。
まず、子どもに対する言葉選びは慎重に行いましょう。
例えば、ちょっとしたイタズラやお友達とのトラブルに対して「ひどい子ですね」など、その子を否定するような発言は、印象を悪くしてしまいます。
子どもですから、失敗やトラブルも当然起こります。
保護者としても、施設内であったトラブルを聞いて「なんでそんなことをしたんだろう?」、「家に帰ってよく話を聞きたい」と思っているかもしれません。
だからこそ、その子のいいところに着目して「すぐに仲直りしていて偉かったですよ」、「いつもクラスを元気にしてくれます」など、魅力を言葉にしてあげましょう。
もちろん、子どもだけでなく保護者に対しても、失礼のない言葉選びは大切です。
例えばお迎えのとき「めずらしく早くお迎えにきてくださったんですね」というような言葉を伝えたとき「いつも遅くなってしまうことに対する嫌味?」と考えられてしまうかもしれません。
仕事と子育てを両立しなければならない環境で、知らずしらずのうちにストレスを抱えている人も多いはずです。
「病院に連れていってあげたらどうですか?」など、子どもを思って言ったアドバイスでも「わかってるけど、時間がなくて行けないの!」と保護者を追い詰める言葉になることもあります。
保護者とのあいだに信頼を築くには?
保護者との人間関係をうまく構築するためには、前述のような「失礼」ととらえられそうな言動をやめ、常に相手の立場を想像して接しましょう。
「母親ならこれくらい普通」という考えを持っていると、知らず知らずのうちに言葉尻に出てしまうこともあります。
すべての人にそれぞれ異なる事情があるのだと理解することが必要不可欠です。
その上で「こうしてください」という言い方ではなく「私たちにできることがあったらなんでも相談してください」という、寄り添う姿勢を心がけましょう。
特に、はじめての子育てを経験している保護者の方は、目に見えなくとも精神的に追い詰められているパターンが少なくありません。
「誰にも相談できない」、「誰かに愚痴を聞いてもらいたい」と思っている可能性もあるからこそ「保育士さんは寄り添って、助けてくれる存在なんだ」と気づいてもらえれば、一気に信頼関係を構築できるでしょう。
そのためにも、日頃から綿密にコミュニケーションをとりましょう。
送迎時に小さなことでも報告し合ったり、連絡ノートに子どもをよく見ていることが伝わるようなエピソードを書いたり、親しみやすい姿勢を見せると距離をつめやすくなります。
保護者からクレームがあったとき、どう対応すればいい?
もし、保護者からクレームがあったなら、まずは相手の話をしっかり最後まで聞くことが大切です。
言いたいことがあっても、話を遮ったり、反論したりするとかえって逆効果になってしまうでしょう。
まずは相手の言いたいことをすべて聞いた上で状況を整理していくと、相手も怒りや不満が鎮まりやすくなります。
問題点を突き付けられたときには誠意をもって謝罪をした上で「園長に伝えて改善する」など、真摯な姿勢を見せましょう。
実際、園長や先輩保育士にクレーム内容を報告・相談することは重要です。
ひとりで抱え込むとなかなか答えが見つからない問題も、みんなで対応すれば改善へ導きやすくなるでしょう。
とは言え、保護者の要望をすべて叶えればよいということではなく、保育園として対応できる内容には限界があります。
その際は代替案を出しながら、長期的に改善へ導きたい旨を保護者へ伝えましょう。
保護者の要望を「無理です」とつっぱねるのではなく「今は難しいけれど、真摯に対応していきたい」という姿勢を見せましょう。
まとめ
保護者との関係をどのように構築していくかは、保育士にとって永遠のテーマと言えるかもしれません。
何気ない言葉が、悩んでいる保護者や子どもを追い詰めることになりかねないからこそ、真摯な姿勢でコミュニケーションをとっていきましょう。
クレームがあったときにはしっかり受け止め、施設内で共有することで体制を見直すきっかけになるかもしれませんよ。