2021.9.15
保育士の退職金はいくら?算出方法やもらえない原因は?
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退職に関する手続きの中で、忘れてはいけないのが退職金にまつわる手続きです。
転職の際に退職金があるかどうかで、その後の生活が変わってくるかもしれません。
そこで今回は、保育士が覚えておきたい退職金の基本について解説していきます。
退職金とは?
退職金とは、退職するときにだけ支払われる手当のことです。
手当というと「住宅手当」や「通勤手当」のように、毎月決まって支払われるものとイメージするかもしれません。
しかし退職手当は、基本的に退職するまでは受け取ることはありません。
退職金を受け取ることで、退職後にゆっくり休む時間を作れたり、転職活動をはじめるまでの生活の足しにできたりします。
公立の施設で働く保育士は退職金をいくらもらえる?
退職金を考える上で気になるのは「具体的にいくらぐらいもらえるの?」ということではないでしょうか。
退職金の具体的な金額は、保育士の収入や職場、退職理由、勤続年数といったさまざまな要素によって決定します。
基本的には自己都合退職のほうが安く、職場側の理由によっていわゆる「クビ」になった場合には高い金額を受け取れます。
そして公立施設に勤めている保育士の場合は、退職金は地方公務員法に基づいて決定します。
具体的には「退職したときの月収×退職理由別・勤続年数別支給率」です。
さらに役職についていた場合には「調整額」が発生し、貢献度の高い役職ほど大きな金額を受け取れるようになります。
具体的な金額は自治体ごとにも異なり、たとえまったく同じ条件であったとしても、自治体が変われば退職金も変わるのでその点はよく理解しておきましょう。
民間施設で働く保育士は退職金をいくらもらえる?
民間施設で働く保育士の場合、退職手当共済制度を導入している職場であれば、勤務期間が比較的短い場合にも退職金を受け取れるでしょう。
退職手当共済制度は、1年以上加入しているときに退職金が支給される制度です。
退職金の具体的な金額は、こちらも収入や勤続年数、退職理由によって決定します。
「もっと細かく金額を知りたい」という場合、福祉医療機構のサイトを確認すればシミュレーションツールを利用できます。
「退職手当金計算シミュレーション」というツールで、加入年月、退職年月、退職前6カ月の平均本俸月額、退職理由を入力すれば退職金の目安をつけることができます。
あくまで目安を算出するツールであり、表示された金額を確実に受け取れるわけではありませんが、参考になるでしょう。
退職後や転職時の生活について目安を立てたいとき、参考にしてみましょう。
退職金制度は法律で義務付けられているわけではない
中には「退職をしたのに退職金をもらっていない!」という人もいるかもしれません。
「もらえるはずのお金を支給されていない?」「それってアリなの?」と思ってしまうかもしれませんが、実は退職金はすべての職場で必ず支給されるものではないのです。
と言うのも、退職金は法律で支払いが義務付けられているわけでなく、「この施設では退職金は出しません」と定めていたとしても、それも問題ではありません。
あらためて就業規則に「退職手当」、「退職慰労金」、「退職給付」といった文字がないかよく確認してみましょう。
就業規則に退職金制度について詳細が記されているのであれば、労働基準法に従って記載通りに支払わなければいけません。
つまり「求人には退職金制度と書かれていたのに、実際は受け取れなかった」というのなら、それは問題です。
とはいえ具体的な金額や支払い条件等はそれぞれの施設ごとに異なりますので、心配であれば職場に確認しておくとよいでしょう。
もっとも多いケースが、退職金の発生時に勤務年数が考慮されるパターンで、特に「勤続3年以上」の保育士であれば退職金が支払われるケースです。
その場合、1〜2年しっかり働いていたとしても、基準に満たないことから退職金を受け取ることはできません。
「規定にギリギリ満たず、退職金を受け取れなかった」ということにならないためにも、あらかじめ就業規則を確認することは非常に重要です。
あわせて、申請後いつ頃支払われるのかについても確認をおすすめします。
退職金制度がとても重要な理由
まだ退職の目処がたっていない人であっても、退職金の有無や金額を確認しておくことは大切です。
というのも、退職金制度が受け取れるかどうかで、保育士が生涯に受け取れる収入が大きく変わってきます。
特に、ひとつの保育施設で長く勤めるのであれば、退職金がない職場を選ぶとそれだけで同じ年月を勤めあげた保育士よりも損をしてしまうのです。
転職活動中ならば、職場を選ぶにあたって退職金制度を導入しているかどうかをよくチェックしてみましょう。
中には、あえて記載されずにぼやかされている求人もありますが、のちのち損をしないためにはしっかり聞いておくことが大切です。
「求人応募の段階で、退職金のことをたずねるのは気が引ける……」というときには、転職支援サービスを活用するのもおすすめです。
転職支援サービスでは、保育士と保育施設とのあいだに入ってもらい気になる内容を確認してもらうことができますよ。
まとめ
退職金は、仕事を辞めたあとや転職活動中のお財布事情に大きくかかわります。
特に、勤務年数が長い人であればその金額は大きなものとなりますから、まずは職場で退職金制度を導入しているのか、具体的にどれくらい支給されそうか確認してみるとよいでしょう。
そして新しい保育施設で働きはじめるときにも、退職金制度を導入しているかどうかを判断基準とすることをおすすめします。