2021.8.7
保母資格とは?保育士との違いと、保育施設で働きたいときの手順
2492View
ブランクのある保育士さんがもう一度保育の世界に飛び込むときには「どんな準備が必要かわからない」と悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。
「資格は持っているけれど、まだ働けるのか自信がない……」と躊躇していると、ますますブランクが大きくなってしまいます。
今回は特に「保母資格なら持っているけど、保育資格と違うの?」という疑問に答えていきましょう。
保母と保育士の違い
保母資格とは、保育施設等で遊びや学びをはじめ、子どものお世話を総合的に行う人のための資格です。
ここで多くの人が「その仕事って、保育士の仕事となにが違うの?」と考えてしまうのではないでしょうか。
仕事内容だけを見れば、保母と保育士は変わりません。
簡単に説明すると「保母」とは保育士の古い表現であり、指し示している対象は同じです。
以前は、保育施設で働いている職員は今以上に女性の割合が多いものでした。
女子は誰もが今でいう「保育士」の素質があると考えられ、保育施設で働くことは決してめずらしいことではありませんでした。
変化のきっかけは1948年に新しく制定された児童福祉法です。
これによって、保育施設で仕事として保育にあたるには資格が必要であると定められました。
保母資格は高等学校卒業が条件となり、資格を取得した者だけが保母として認められました。
その後、性別を限定しないための取り組みによって「保父」が誕生し、さらにその後、保母と保父を総括する存在として「保育士」という呼び方が生まれました。
このように保母と保育士は同じ文脈にあるのですが、保育士ならではの特徴として「国家資格であること」が挙げられます。
保母資格が登場し、保育士という呼称が生まれるまでの歴史の中ではなかった違いと言えるでしょう。
現在は、保母資格だけでは働けない
現在、保育士の仕事には国家資格の保育士資格が必要ですが、同じように以前は保母の仕事に「保母資格」が必要でした。
保育士と保母の仕事内容が変わらないのであれば、保母資格を持っていればそのまま保育士としても活躍できるのでは……と思ってしまうかもしれませんが、現在、保母資格で保育士を名乗ることはできません。
なぜかと言えば、やはり「保育士が国家資格であること」が関係しているでしょう。
保母資格が利用されていた頃は、仕事内容こそ変わらずとも国家資格としては定義されておらず、現在に比べれば取得のハードルも低い傾向にありました。
現在では保育士資格と保母資格は別物として扱われているため、保母資格を持っている人が保育士になりたいのならば保育士資格に切り替えなければいけません。
保母資格から保育士資格への切り替え手順
保母資格を保育士資格に切り替えるときには、登録事務処理センターと呼ばれる事務所へ必要書類を送付するなどして手続きします。
まず登録事務処理センターに問い合わせて「保育士登録手引き」を取り寄せましょう。
保育士登録手引きでは、登録のやり方や専用の登録用紙を確認できますので手元に届いたらしっかりチェックしてください。
登録には、登録手数料がかかるため確認した上で必要な金額を振り込みましょう。
支払いが済むと「振替払込請求書兼受領証」と、「振替払込受付証明書」を受け取ることになります。
これらは、きちんと確認して管理しておきましょう。
特に「振替払込受付証明書」は、保育士の登録申請で必要になりますのでなくさないように保管してください。
支払いが済んだら、必要な書類を用意して、改めて登録事務処理センターに提出しましょう。
資格の切り替えに必要な書類
保母資格から保育士資格に切り替えるときには、「保育士登録申請書」が必要になります。
これは「保育士登録の手引き」を取り寄せた際に同封されているため、必ず確認し必要事項を記載しましょう。
続いて、支払いの際に受け取った「振替払込受付証明書」を保育士登録申請書の裏側に貼り付けます。
これで、保育士登録申請書は完成です。
さらに、合わせて「保母資格証明書」の原本を用意します。
もし結婚などをきっかけに名前が変わっているのであれば、旧姓を証明するために戸籍抄本も用意しましょう。
こちらもコピーは不可ですから、原本を用意するよう注意してください。
まとめ
保母資格とは、今でいう保育士資格と同じ役割を果たす資格ではありますが、現在のように国家資格として定義されてはいません。
「保母資格を持っているから保育士として働ける」というものではありませんから、しっかり変更手続きを行いましょう。
必要書類を用意し、料金を支払って登録事務処理センターへ送れば完了しますから、ブランクがある人もすぐに復帰できますよ。