2025.1.30
幼稚園教諭の二種免許と一種の違いって何?取得難易度から仕事への活かし方まで徹底解説
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幼稚園教諭を目指すうえで「二種免許状」という言葉を耳にされた方も多いのではないでしょうか。
二種免許状は、大学・短大・専門学校などで定められた課程を履修し、所定の単位を修得して卒業することで取得できる幼稚園教諭免許のひとつです。また、「一種免許状」「専修免許状」とあわせて、幼稚園教諭を目指す上で重要な資格でもあります。
この記事では、幼稚園教諭の二種免許状とは何か、その難易度や就職・キャリア、実際に二種免許状であっても十分に活躍ができる理由などを、落ち着いたトーンで詳しく解説いたします。
幼稚園教諭として働きたいと思っている方や、将来の進学先を迷っている方の参考になれば幸いです。
目次 [hide]
■ 幼稚園教諭二種免許状とは?
幼稚園教諭二種免許状とは、文部科学省が認可する短期大学や専門学校(通信課程を含む)、あるいは大学の短期大学部などを卒業し、幼稚園教諭の養成課程で定められた必要単位を修得することで得られる免許状のことです。
大学に4年間通うことで取得できる「幼稚園教諭一種免許状」と異なり、二種免許状は主に2年制の短大や専門学校などで取得するケースが一般的です。
もちろん、二種免許状でも「幼稚園の先生」として働くことは可能です。幼稚園の教諭は「幼稚園教諭免許状」を持っていることが必須条件となるので、免許状の種類が一種か二種であっても、担任業務や保護者対応、行事の運営など幅広い仕事を担うことができます。
■ 二種免許状の難易度はどのくらい?
幼稚園教諭の二種免許状は、大学や専門学校の関連学科に進学し、きちんと授業に取り組んで卒業要件を満たせば、卒業と同時に無試験で取得できるのが大きな特徴です。
国家試験などの受験を伴う「保育士資格試験」のように、一度に多くの科目を合格しなければならないものとは少し違います。
とはいえ、養成課程の中には実習科目やピアノなどの実技科目が含まれるため、初めての方には負担が大きいと感じられる方もいるかもしれません。さらに、幼児教育・心理学・教育原理など多岐にわたる内容を学ばなければならないため、それなりの努力は必要です。
しかし、学ぶべき内容や試験範囲がしっかりと定められており、学校や指導者からのサポートも豊富にあるため、まじめに取り組めば着実に修得できるという安定感があります。
通信制で学ぶ方の場合、働きながらや家事・育児と両立した状態で学びを進める方もいるでしょう。その場合、自宅学習の時間管理やスクーリングへの出席が難しく感じることもありますが、こつこつ積み重ねることで卒業まで到達し、結果的に二種免許状を取得している方が多くいらっしゃいます。
■ 一種免許状と二種免許状の違い
(1) 修業年限
一種免許状 → 通常は4年制大学 二種免許状 → 通常は2年制短大・専門学校
(2) 将来的な役職・キャリア
幼稚園には園長や副園長などのポジションがあります。園長になるには「一種免許状以上(もしくは専修免許状)」を所持している必要があるというケースが多いとされます。ただし、二種免許状のままでも勤務年数が長く、実績がある場合には昇進・昇格の道を開いている園もありますし、最終的に一種免許状に切り替えをして園長職に就くという方もいらっしゃいます。
(3) 初任給や待遇
一般的に、大卒(四年制大学卒業で一種取得)と短大・専門学校卒(卒業で二種取得)で、初任給や給与テーブルに差が設けられている園は珍しくありません。初任給の差額は1~3万円ほどということが多いですが、昇給や賞与額も含め、求人票をよく確認して選択すると良いでしょう。ただし、園によっては大卒・短大卒で給与差をつけない方針のところもあります。
■ 二種免許でも十分に活躍できる理由
(1) 担任としての業務範囲に違いはない
一種免許状であっても二種免許状であっても、幼稚園の担任として任される仕事内容に大きな差はありません。日々の保育計画や行事の運営、保護者対応など、どちらの免許保持者でも同様の業務を担います。子どもたちへ実際に関わる際には、免許の区分ではなく「教師としての資質や経験」が重要視されることが多いでしょう。
(2) 若いうちから現場経験が積める
二種免許状を取得して2年で卒業した場合、早い人だと満20歳で就職が可能です。年齢が若い分、就職後から長い年月をかけて現場での実務経験や学びを深めていくことができるのは大きな強みです。また、働いてから「もっと幼児教育について学びたい」「将来的に園長を目指したい」という願いが出てきたときは、通信教育や研修の受講などを通じて一種免許状(あるいは専修免許状)に切り替える道が用意されています。
(3) キャリアアップで一種免許状へ切り替え可能
二種免許状を取得し、実務経験を重ねたのちに追加で必要な単位を取得することで、一種免許状への切り替えが可能です。具体的には「5年以上の実務経験」および「自治体指定の養成機関で必要単位を修得」など。一定の条件をクリアすることで、都道府県の教育委員会から一種免許状を授与してもらえる仕組みです。一度に長い修業年限を要する4年制大学に通うのが難しい方でも、働きながら段階的にキャリアアップを目指すことができます。
■ 保育士資格しかない方も幼稚園教諭を取得できる?
近年、認定こども園の増加や幼保一体化のニーズが高まっており、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を所持している人材への需要が大きくなっています。実は、先に保育士資格を取得していても、「幼保特例制度」を活用することで比較的スムーズに幼稚園教諭免許を取得するルートがあります。
幼保特例制度とは、3年以上(かつ4,320時間以上)の保育士としての実務経験を持つ方であれば、大学などで必要単位(通常の半分以下)を修得し、教育委員会の審査に合格することで、あとから幼稚園教諭免許を取得できる特例のことです。
通信教育や夜間学習などを利用すれば、仕事を続けながら免許取得が狙えます。特例は2025年3月末までと期限があるため、保育士から幼稚園教諭を目指す方は早めに情報収集を行いましょう。
■ 幼稚園教諭二種免許状取得後の就職・働き方
幼稚園教諭二種免許状を取得すると、多くの方は私立幼稚園をはじめとした各園へ担任教師として就職し、担任業務や行事計画、自治体との調整など多種多様な仕事をこなしていきます。
就職の際には、短大卒・専門学校卒の求人枠が大きく設けられている園もあり、特に子どもを取り巻く保育環境の需要拡大の流れを受け、積極的に採用を行う幼稚園も増えています。
また、幼稚園教諭の免許を活かしつつ、ベビーシッターや企業内託児所、障がい児支援施設などに勤務するという選択肢も広がっています。施設によっては幼稚園教諭免許状の保持者を優遇しているところもあり、保育士と合わせて幼稚園教諭免許を持っている場合はますます就職の幅が増えるでしょう。
■ まとめ ~ 二種免許でも十分に活躍できる
幼稚園教諭の二種免許状は、短大や専門学校を卒業して手早く現場に出たい方や、取得後に働きながら経験を積み、将来的には一種免許状への切り替えを目指したい方にとって、大きなメリットがあります。もちろん、学習内容は実習や保育理論など多岐にわたるため決して楽な道ではありませんが、しっかり学びを積むことで確実に幼稚園教諭としてのキャリアをスタートできます。
さらに、二種免許状でも園長以外の役職(主幹教諭・主任など)への登用を行っている園もありますし、一種免許状へ移行していく制度もしっかり整備されています。つまり、二種免許状だけでは将来が限られてしまうというわけではありません。大切なのは、実際の現場で子どもたちにどのように向き合い、その発達をどのように支援していくかという姿勢や努力です。
初任給や学費の面でも、専門学校や短大のほうが負担が軽く済むという利点があります。
若くして現場に出て実務経験を積みたい方、将来的にキャリアアップを検討している方には、二種免許状からスタートするのも十分に有力な選択肢です。働きながら学び直して資格のステップアップをする方も増えていますので、幼稚園という子どもたちの大切な成長の場で、ぜひ積極的に活躍してみてくださいね。
いかがでしたでしょうか。幼稚園教諭二種免許状は一種免許状や専修免許状と比較すると、取得時の修業年限が短い分、早期に実務を積みやすいというメリットがあります。決して「二種だから活躍しにくい」ということはありませんし、どちらかというと「活躍の仕方」「今後のキャリアビジョン」をどう描くかが最も大切です。
幼児教育に情熱を持つ皆さまが、それぞれの目標やライフスタイルに合わせて免許の種類を選び、子どもたちの笑顔あふれる未来を支えていく姿を、心より応援しています。