2021.4.12
児童発達支援管理責任者(児発管)とは?仕事内容から資格取得方法、給料までわかりやすく解説
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目次
1. はじめに
※本記事は2025年6月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的としています。実務経験の要件や研修内容、給与などの詳細は必ず勤務を希望する自治体や事業所の公式発表をご確認ください。
「子どもたちの成長にもっと深く関わりたい」「保育士や指導員としての経験を活かして、キャリアアップを目指したい」
もしあなたがそのように考えているなら、「児童発達支援管理責任者(児発管)」という選択肢をご存知でしょうか。
この記事では障害のある子どもの支援現場で要となる「児童発達支援管理責任者(児発管)」について、その役割や具体的な仕事内容、資格取得までの道のり、そして気になる給与面まで詳しく解説していきます。
この記事を読めば児発管という仕事の魅力と全体像が明確になり、あなたのキャリアプランを具体的に描くための確かな一歩となるはずです。
あなたの経験を、子どもたちの未来を支える力に
障害のある子どもたち一人ひとりの個性に合わせた支援計画を作成し、チームを導く「児童発達支援管理責任者」。
あなたのこれまでの経験は子どもたちとそのご家族にとってかけがえのない支えとなります。 ご自身のキャリアについて一度じっくり考えてみませんか?
2. 児童発達支援管理責任者(児発管)とは
児童発達支援管理責任者(児発管)とは、障害のある子どもたちの療育や支援を行う施設で中心の役割を担う専門職です。
児童福祉法に基づき、児童発達支援センターや放課後等デイサービスといった障害児支援施設には必ず1名以上の配置が義務付けられています。まさに、施設運営に不可欠な存在と言えるでしょう。
主な役割は子ども一人ひとりの特性や発達段階、そしてご家族の意向を丁寧に把握し、最適な「個別支援計画」を作成することです。作成した計画に基づいて質の高い支援が提供されるよう、保育士や児童指導員などの現場スタッフへの指導や助言も行います。
豊富な知識と経験を活かし、子ども、保護者、そして職員にとってもより良い環境を築き上げていくチームのリーダー的な立場なのです。
3. 児童発達支援管理責任者(児発管)の仕事内容
児発管の仕事は沢山ありますが、その中核をなすのは「個別支援計画」の作成と運用です。
3-1. 個別支援計画の作成
個別支援計画は子ども一人ひとりに合わせたオーダーメイドの支援プランです。作成には以下のような丁寧なプロセスがあります。
·アセスメント(課題分析):子どもや保護者との面談、日々の様子の観察を通して発達状況や生活環境、本人の願い、ご家族の希望などを詳しく把握します。
·計画原案の作成:アセスメントで得た情報をもとに長期・短期の目標を設定し、目標達成のための具体的な支援内容を盛り込んだ計画の原案を作ります。
·サービス担当者会議の開催:作成した原案をもとに保護者や担当スタッフ、必要に応じて学校や医療機関の担当者も交えて会議を開き、支援の方向性について意見交換して共通認識を深めます。
· 交付・説明と同意:会議でまとまった内容を正式な計画書として作成し、保護者に丁寧に説明した上で同意を得ます。
·モニタリングと計画の見直し:計画に沿った支援が始まった後も定期的(少なくとも6ヶ月に1回以上)に支援の効果を評価(モニタリング)し、子どもの変化や状況に合わせて計画を柔軟に見直していきます。
この一連のプロセスを管理し、子どもにとって最善の支援を追求することが児発管の最も重要な使命です。
3-2. その他の職務内容
個別支援計画の作成以外にも児発管は幅広い業務を担います。
· 保護者への相談援助:子どもの発達に関する悩みや家庭での関わり方など、保護者が抱える様々な不安に寄り添って専門的な視点からアドバイスを行います。信頼関係を築き、良き相談相手となることも大切な仕事です。
· 関係機関との連携・調整:学校、保育所、医療機関、地域の相談支援事業所など、子どもに関わる様々な機関と情報を共有して一貫した支援体制を築くための調整役を担います。
· 現場スタッフへの指導・助言:日々の支援が計画に沿って適切に行われるよう、保育士や児童指導員を指導・育成します。チーム全体の専門性を高めるスーパーバイザーとしての役割も期待されます。
· 事業所の運営・管理業務:施設によっては職員の勤怠管理やシフト作成、各種書類の作成・管理といった事務的な業務や運営に関わる業務を担当することもあります。
3-3. 児童発達支援管理責任者の1日のスケジュール
勤務する施設の種類(児童発達支援か放課後等デイサービスかなど)によって違いますが、ここでは放課後等デイサービスに勤務する児発管の1日の流れをご紹介します。
| 時間 | 業務内容 |
| 10:00 | 出勤、朝礼、メールチェック、1日のスケジュール確認 |
| 10:30 | 事務作業(個別支援計画の作成・更新、各種記録作成など) |
| 11:30 | 関係機関(学校、相談支援事業所など)との連絡・調整 |
| 12:30 | 休憩 |
| 13:30 | スタッフミーティング(午後の活動内容の確認、子どもの情報共有) |
| 14:30 | 学校へ子どもたちのお迎え、健康チェック |
| 15:30 | 子どもたちの活動の様子の見守り、現場スタッフのサポート |
| 17:00 | 保護者対応(1日の様子の報告、相談対応など)、子どもの送迎 |
| 18:00 | 記録作成、スタッフとの情報共有・振り返り |
| 19:00 | 退勤 |
午前中はデスクワーク中心、午後は子どもたちの支援やスタッフのフォロー、保護者対応が中心となることが多いようです。
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4. 児童発達支援管理責任者(児発管)になるために
児発管になるには学歴や特定の資格試験に合格する必要はありません。その代わり、定められた「実務経験」を満たした上で指定の「研修」を修了する必要があります。
4-1. 実務経験の要件
児発管になるための実務経験は大きく3つのルートに分かれています。どのルートでも障害児・者や子どもを対象とした施設での実務経験が求められる点が共通しています。
2019年度に制度が改正され、以前よりも要件が整理されました。
| ルート | 必要な実務経験の合計年数 | うち障害児・者/子ども分野での必要年数 |
| ①相談支援業務 | 5年以上 | 3年以上 |
| ②直接支援業務 | 8年以上 | 3年以上 |
| ③国家資格等を保有 | 5年以上(資格に基づく業務) | 3年以上(相談または直接支援) |
· 相談支援業務:身体上もしくは精神上の障害がある人や、環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある人の自立に関する相談に応じて助言、指導、その他の支援を行う業務です。
· 直接支援業務:身体上もしくは精神上の障害がある人に対する入浴、排せつ、食事等の介護や日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練などを行う業務です。
· 国家資格等:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、理学療法士、社会福祉士、介護福祉士、保育士、児童指導員任用資格者などが該当します。
ご自身のこれまでの経歴がどのルートに当てはまるか、また実務経験として認められるかどうかは各自治体の判断となります。必ず事前に都道府県の担当窓口に確認することが重要です。
4-2. 受講が必要な研修
実務経験の要件を満たしたら(または満たす見込みとなったら)、都道府県が実施する研修を受講します。研修は以下のステップで進みます。
・基礎研修の受講
・実務経験要件を満たす2年前から受講できます。
・個別支援計画の作成やサービス提供のプロセスなど、児発管としての基礎的な知識・技術を学びます。
・この研修を修了すると「基礎研修修了者」となり、2人目の児発管として配置されたり、個別支援計画の原案を作成したりできます。
・OJT(On the Job Training)
・基礎研修修了後、実際の職場で2年以上の実務経験を積みます。
・すでに配置されている児発管の指導のもとで実践的なスキルを身につけます。
· 実践研修の受講
・基礎研修修了後、2年以上のOJTを経験すると受講できます。(基礎研修修了前の経験と合わせて過去5年以内に2年以上の実務経験が必要)
・より高度な個別支援の質の向上や人材育成、地域連携など、管理者として必要な実践的スキルを学びます。
・この実践研修を修了することで晴れて正式な「児童発達支援管理責任者」として1人目配置ができます。
なお、資格取得後も5年ごとに「更新研修」の受講が必要となり、常に知識やスキルをアップデートし続けることが求められます。
4-3. 研修の申し込み方法
研修は各都道府県が実施主体となっており、日程や申し込み方法は自治体によって違います。お住まいの地域や勤務地の都道府県のホームページなどで「児童発達支援管理責任者 研修」といったキーワードで検索して最新の情報を確認してください。
5. 児童発達支援管理責任者(児発管)が働ける職場・就職先
児発管が活躍する主な職場は障害のある子どもたちが利用する施設です。施設は大きく「通所支援」と「入所支援」に分けられます。
5-1. 障害児通所支援事業所
家庭から施設に通い、日帰りで支援を受けるサービスです。
・児童発達支援センター・事業所:未就学の障害児を対象に、日常生活の基本動作の指導や集団生活への適応訓練などを行います。
・放課後等デイサービス:小学生から高校生までの就学児を対象に、放課後や夏休みなどの長期休暇中に生活能力向上のための訓練や社会との交流の促進などを行います。
・保育所等訪問支援:児発管や指導員が保育所や学校などを訪問して集団生活に馴染めるよう専門的な支援を行ったり、施設の先生方へ助言したりします。
5-2. 障害児入所支援施設
家庭での養育が困難な場合に入所して24時間体制で支援を受ける施設です。
・福祉型障害児入所施設:日常生活の指導や知識技能の付与を中心とした支援を行います。
・医療型障害児入所施設:福祉的な支援に加え、治療や看護などの医療的ケアも提供します。
6. 児童発達支援管理責任者(児発管)の給料
キャリアアップを目指す上で給与水準は気になるポイントですよね。
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」によると、常勤の児童発達支援管理責任者の平均給与月額は371,320円でした。年収に換算すると約445万円となります。
同調査における保育士の平均給与月額が約33万円、児童指導員の平均が約32万円であることと比較すると、児発管は専門性や責任の重さが評価されて高い給与水準にあることがわかります。資格手当(月額1万円~5万円程度)を支給する事業所も多く、キャリアと収入の両面で魅力的な職種と言えるでしょう。
7. 児童発達支援管理責任者(児発管)のメリット・やりがいと大変なこと
責任ある立場だからこその大変さもありますが、それを上回る大きなやりがいを感じられるのが児発管の仕事の魅力です。
7-1. 【メリット・やりがい】
・専門性を活かしたキャリアアップ:保育士や指導員として培った経験を直接活かし、より専門性の高い立場で活躍できます。
・給与・待遇の向上:責任ある立場として一般の職員よりも高い給与や手当が期待でき、安定した生活基盤を築きやすくなります。
・子どもの成長に深く関われる:一人ひとりの子どもとじっくり向き合い、個別支援計画を通してその子の成長を長期的にサポートできることは何物にも代えがたい喜びです。
・チームをまとめる達成感:自分の働きかけで現場スタッフが成長したり、チーム全体の支援の質が向上したりすることに大きな達成感を得られます。保護者から信頼され、感謝の言葉をいただいた時も大きなやりがいを感じる瞬間です。
7-2. 【大変なこと】
・資格取得までの道のり:実務経験を積み、複数の研修を修了する必要があるので資格取得までに時間がかかります。
・責任の重さと業務の多様さ:支援全体の責任者としてプレッシャーを感じる場面や計画作成、保護者対応、スタッフ指導、事務作業など、幅広い業務をこなす必要があります。
・保護者対応の難しさ:様々な考えを持つ保護者との信頼関係を築き、時には難しい要望に対応しなければならないこともあります。
8. まとめ
児童発達支援管理責任者(児発管)は障害のある子どもたちの未来を支える非常に重要でやりがいのある専門職です。
資格取得までには実務経験と研修が必要ですが、保育士や指導員としての経験を活かし、子ども一人ひとりと深く向き合いながら支援チームのリーダーとして活躍できます。給与面でのステップアップも期待でき、キャリアプランの有力な選択肢となるでしょう。
この記事があなたの新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。











