2023.7.18
保育施設では冷凍母乳の取り扱いに注意!解凍方法や温め方、衛生面での注意点
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保育施設の中には、冷凍母乳を受け取って適宜与えている……という施設もあるのではないでしょうか。
冷凍母乳は取り扱いに十分注意しなければいけないものですから、改めて施設内で取り扱いについて確認しましょう。
今回は、保育士が知っておくべき冷凍母乳の基礎知識をまとめました。
保育施設では冷凍母乳を受け取ることもある!
冷凍母乳とは、お母さんの母乳を搾乳し、冷凍保存したもののことです。
保育施設では、保護者から冷凍母乳を受け取り、子どもに与える形式をとっていることもあります。
赤ちゃんに何を飲ませてどう育てるかには、正解がありません。
医師や助産師でさえ「子育ては母乳でなければいけない」と言う人もいれば「ミルクも使ったほうがいい」と言う人もいます。
それぞれの教育方針に基づき赤ちゃんに与えるものを考えていますから、「できるだけ母乳をあげたい」と考える人もいるでしょう。
その場合、保育施設にいる時間でも母乳をあげられるよう、保育施設で冷凍母乳を受け取るのです。
しかし冷凍母乳の取り扱いには注意が必要になるため、すべての保育施設で冷凍母乳を取り扱っているわけではありません。
時には、冷凍母乳を取り扱いを行っていない施設で「冷凍母乳での対応をお願いします」と言われることもあるでしょう。
その際には、きちんと衛生面や安全性の観点から冷凍母乳の取り扱いができないことを説明し、保護者の理解を得るようにしてください。
冷凍母乳をあげる時にはどうやって解凍する?
冷凍母乳は、子どもに与える際にきちんと正しい方法で解凍しなければいけません。
温め方を間違えてしまうと、母乳に含まれている成分が変化してしまう可能性もああります。
特に、熱湯や電子レンジのように、急速に温める方法はNGです。
冷凍母乳は、水を使って解凍しましょう。
母乳の入ったパックごと水につけ、少し置いておくと急速に熱がくわわることなく溶けていきます。
しかし、解凍直後の母乳はとても冷たく、そのまま子どもに与えることはできません。
子どもに飲ませる前には湯せんをして、人肌程度に温めましょう。
このときも同様に、急に熱がくわわると悪影響を及ぼしてしまいます。
30~40度くらいの、熱すぎないぬるま湯を使うようにしてください。
温まった母乳は、やけどしないよう注意しながら哺乳瓶へ移します。
子どもに渡す前に上下に振って混ぜ合わせてから、飲ませてあげましょう。
冷凍母乳を取り扱う際の注意点
冷凍母乳は、取り扱い方によって子どもに害を与えるものにもなりかねません。
そのため、衛生管理はすべての保育士や職員のあいだで共有し、徹底してください。
例えば、飲み残しやいったん解凍した母乳をそのまま取っておいたり、使い回したり、ふたたび冷凍したりすることはできません。
一度解凍した母乳は廃棄するよう徹底しましょう。
あわせて、担当職員が不在のときには誰がどのように対応するかなど、イレギュラーな対応についても決めておくことをおすすめします。
取り扱いルールはスタッフ内で共有するとともに、保護者にもきちんと指導することが大切です。
搾乳の仕方や、母乳の取り違え防止のための対策(氏名や搾乳日時の記入)を周知してもらうようにしてください。
保護者が衛生的でない環境で母乳を保存していた場合、保育施設でどれほど徹底的に管理してもトラブルが起きかねません。
その場合には、責任問題にも発展するでしょう。
なにより子どもの健康状態に悪影響を与える可能性がありますから、保育士と保護者の二人三脚でよりよい環境づくりを目指しましょう。
また、起こりやすいトラブルとして「子どもが解凍した母乳を飲まない」というものがあります。
直接授乳に慣れている子どもは、哺乳瓶の感覚を拒否してしまうことがあるためです。
そのときミルクを与えてもいいのか、絶対に母乳で対応したいのか……という点は、家庭によって考え方が違うでしょう。
事前にきちんと確認しておくことが、トラブル回避につながります。
冷凍母乳の取り扱い方も含め納得できる働きやすい環境を探そう
子どものことを思い、丁寧な対応を実現しようとするほど、さまざまな考え方が衝突することもめずらしくありません。
母乳とミルクどちらが良いか……というような話は、まさに際たる例ですよね。
冷凍母乳の取り扱い方についても同様で「こうすべき」「こうでなければ」という考えがぶつかることもあるでしょう。
施設の考え方と対立してしまったとき、自分の意見に自信があったとしても、あまりに強く主張するのはおすすめできません。
保育理念は「こうでなければいけない」「これが正しい」という正解がないため、衝突はトラブルを生む原因となります。
それよりも「自分と考え方が似ている保育施設」を見つけ、それぞれの信念に従って対応する方がよいでしょう。
不安や不満があるときには、転職によって自分に合う保育施設を見つけることが、働きやすさの鍵となります。
まとめ
冷凍母乳は子どもの健康と密接にかかわるものですから、取り扱いには細心の注意が必要です。
解凍の際には急速に温めず、水による解凍と湯せんを組み合わせて子どもに与えるようにしましょう。
取り扱い方法は保育士はもちろんスタッフ全員と共有し、さらに保護者の理解が深まるよう努めましょう。