2024.3.8
保育施設における保育士の配置基準とは?日本の基準は世界の基準と比べてどう違う?
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保育施設では、保育士の配置基準が定められており「この規模の保育施設ならば、◯人の保育士を配置しなければいけない」というような決まりを守らなければいけません。
「保育施設とはそういうものだから」と素直に考えている人も多いと思いますが、この基準はどのように定められているのか気になりませんか?
また、世界ではどのように基準が設けられているのかについても合わせて確認してみましょう。
日本における保育士の配置基準とは?
日本の保育施設では「保育士の配置基準」と呼ばれる基準が定められています。
これは、保育施設において預かる子ども一人に対し、何名の保育士を配置しなければならないかという決まりのことです。
国や自治体の取り決めによって保育士の必要最低人数は決まっており、その基準を満たしていないと保育施設を運営することはできません。
反対に、その基準さえ満たしていれば、保育施設を開園することができます。
ひとつの基準として確立されていますが、実際に現場で働く保育士にとっては疑問を感じることもあるでしょう。
「基準で定められている人数では、とても安定した運営ではできない」と感じてしまうこともあるかもしれません。
保育士の配置基準はどのように計算されている?
保育士の配置基準は、国が定めているものを基本にした上で、自治体ごとの配置基準や施設ごとの基準、子どもの年齢なども含めて計算されます。
国の配置基準は、このようになっています。
◇0歳児3人に対して保育士1人
◇1歳児6人に対し保育士1人
◇2歳児6人に対し保育士1人
◇3歳児20人に対し保育士1人
◇4歳児以上30人に対し保育士1人
年齢ごとの定員数を配置基準で割り、保育士の必要数を計算してみましょう。
割り切れないときには、小数点以下を切り上げます。
ただし、こうして計算する保育士の必要人数は、あくまでも日中における保育に必要な人数です。
お泊まり保育などはもちろん、朝や夕方の延長保育でも、日中の保育とは基準が変わります。
具体的には、保育士を2人ずつ追加で配置する必要があるので間違えないようにしましょう。
海外における保育士の配置基準は日本とどのように違う?
日本では当たり前となっている保育士の配置基準ですが、海外の場合にはどうなるのでしょうか?
例えばアメリカ、ニューヨークでは保育士1名に対して1歳半の子どもなら5名、3歳なら7名、4歳なら8名、5歳なら9名というように基準が定められています。
ちなみにアメリカの保育サービスは、国や自治体が運営しているのではなく、民間企業が運営していることが多いようです。
利用者にとって使いやすい、比較的リーズナブルな金額設定になっていますが、それゆえに保育士視点では不満もあるようです。
そういった意味では、日本の労働環境と変わらないと言えるでしょう。
続いてドイツの場合では、そもそも3歳児以上の子どものための保育施設は一般的ではありません。
その時点で、日本とは保育の環境が異なることがわかるでしょう。
幼稚園では、例えば2歳児の場合、保育士1名に対して保育サービスを終日利用する場合には子どもの人数は3.75名までとなります。
半日利用であれば7名というように時間ごとに細かなルールは異なり、この点は日本と同じと言えるでしょう。
また、保育サービスの充実が世界的に話題を集めているニュージーランドの場合、保育時間は全日のサービスと1日数時間のサービスが展開されています。
4時間など短い時間の保育サービスも一般的であることから、日本の保育施設の感覚で言うと少し驚いてしまうかもしれません。
全日型では、保育士1名に対して2歳児未満の子どもなら5名、2歳児以上の子どもなら10名が定員となります。
たとえ0歳児であっても、2歳児までとひとくくり考えられています。
こちらも日本の保育の感覚とは少し違いますよね。
このように、世界中でそれぞれの保育の基準が設けられているのです。
日本の保育環境は世界と比べてどのような特徴がある?
日本の保育環境や保育士の配置基準を考えるにあたって、休憩時間の扱い方に大きな特徴があります。
日本の保育士は、休憩時間がなかなか確保できないことが特徴のひとつと言えるでしょう。
保育士の配置を優先することにより、その保育士が休憩時間を取ることで子どもたちを見る人がいなくなってしまう……という状況に陥ってしまうのです。
労働基準法では8時間以上の勤務なら60分、6時間以上8時間以内の勤務なら45分の休憩が決められています。
しかし保育士の場合「この決まり通りに休憩していたら、施設が回らない」という状態もめずらしくないでしょう。
配置基準の見直しが行われれば緩和される可能性もありますが、現実問題としてはなかなか難しいものです。
現在の労働環境に不満があるのなら、転職を検討してみてはいかがでしょうか?
労働環境は、保育施設によってまったく違います。
休憩時間はもちろん給料や待遇、労働時間、福利厚生など、現在の職場の「当たり前」も、一歩外へ出ると当たり前ではありません。
保育士の需要が高い今だからこそ、よりよい環境を能動的に探してみましょう。
まとめ
保育施設では、国や自治体によって決められた基準に従って、子どもの人数に応じた保育士の配置が義務付けられています。
しかし日本の基準では当たり前のことでも、海外ではその限りではなく、今後も変わっていくかもしれません。
安心して働ける環境を理想としているのなら、自分の理想をとことん追求した職場探しを行いましょう。