2021.3.26
保育施設で冷凍母乳を扱うときに注意すること!安全管理のポイントは?
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近年、便利な存在として多くのシーンで使われている「冷凍母乳」は、保育施設でも「使ってほしい」と頼まれることがあります。
保育士さんは、保護者の要望に応えるためにも冷凍母乳の正しい扱い方を覚えておくべきでしょう。
そこで今回は、冷凍母乳の正しい扱い方や扱う際の注意点について解説していきます。
冷凍母乳とは?
冷凍母乳とは、お母さんがそばにいられないときやすぐに母乳をあげられないときのために母乳を保存しておく方法のことです。
搾乳した母乳は短時間であれば常温や冷蔵で保存しても問題ありませんが、長い時間安全に保存するのなら冷凍がよいとされています。
そして、子どもと保護者が長い時間接触できない保育施設では「冷凍しておいた母乳をあげてほしい」と頼まれることがあるのです。
冷凍母乳を子どもにあげるときには、まずは解凍しなければいけません。
しかし、急激に温めると母乳の成分が変わってしまうことがあります。
そのため冷凍母乳は「冷凍した状態で電子レンジに入れる」、「熱湯をかけて温める」ということはしないでください。
冷凍母乳の解凍には、水を使います。
保存パックに入った状態の冷凍母乳を、水をはったボウルなどにつけ、何度か水を入れ替えながら時間をかけて解凍します。
ある程度解凍できたら、今度はぬるま湯で湯せんしていきます。
ぬるま湯の温度はだいたい30~40度くらいを目安にして、熱すぎないようにしてください。
温まった母乳は哺乳瓶へ移して、ゆっくりと上下に振るようにして混ぜ合わせていきます。
準備ができたら、今一度温度を見ながら、子どもに与えてください。
保育施設によって、冷凍母乳の取り扱い方法は異なる場合があるため、これからご紹介するポイントを意識しながら適切な管理を徹底しましょう。
明確なルールを作り、共有しよう
冷凍母乳を取り扱うのであれば、最初にきちんとルールを作りましょう。
ルールがあると、はじめて冷凍母乳を扱う保護者や職員にもわかりやすく、きちんと同じ意識を持つことができます。
例えば、次のようなルールを作り、書面などにまとめて配るようにしましょう。
◇施設に持ち込む冷凍母乳は冷凍後〇日以内のものに限る
◇冷凍母乳は専用の容器に入れてもらう
◇冷凍母乳には氏名、搾乳日時等を記載してもらう
◇冷凍庫での保管時にはビニール袋に入れる
こうしたルールが明確になっていると、取り違えるなどのミスを防ぎ、安全管理もしやすくなります。
さらに、職員内で冷凍母乳を受け取る、保存する担当者を決めておくとよいでしょう。
もし担当者が不在であっても、職員が冷凍母乳を扱えるようにマニュアルを作成しておくとさらに安心です。
保護者とともに高い意識で衛生管理をしよう
保護者が冷凍母乳を使ってほしいと希望している場合、まず搾乳手順やの指導や打ち合わせを行いましょう。
どれほど施設側が高い意識を持って接していても、保護者の保存方法が適切でなかった場合、トラブルが起きる可能性があります。
「普段から冷凍母乳を使っている」という保護者であっても、講習の要領で基本的な指導を怠らないようにしてください。
もし、母親の体調が芳しくないときや薬を服用しているときには都度連絡してもらい、冷凍母乳を使わないようにしましょう。
もちろん施設側の管理も重要です。
一度解凍した冷凍母乳について、子どもがあまり飲まなかったからといって飲み残しをとっておくことはないようにしてください。
また、 残った分を再度冷凍することも避けましょう。
手間はかかりますが必ず都度解凍し、余った分はもったいないと感じても破棄してください。
子どもが母乳を飲まないケースの対応も決めておこう
冷凍母乳を子どもにあげようとしても、なかなか飲んでくれないということはめずらしくありません。
直接授乳に慣れている子の場合、哺乳瓶ではうまく飲めないケースもあります。
また、普段飲み慣れている母乳と冷凍母乳とでは微妙に温度が違うことから、子どもにとっては安心して飲めるものでなくなり、受け付けられないこともあります。
こうしたトラブルは、徹底した管理を行っていてもどうしても起きてしまうものです。
「もし冷凍母乳を飲んでくれなかったらどうするか」という点についても、あらかじめ保護者と相談して決めておきたいものです。
「冷凍母乳の代わりに粉ミルクを飲ませる」、「麦茶を飲ませる」、「ストローマグで飲ませる」など、対処法を試しながら最適な方法を試してみましょう。
まとめ
便利な冷凍母乳はお母さんの負担を減らしてくれる存在ですが、保育施設で扱うのなら細心の注意が必要です。
安全に飲ませるためには、保護者と施設側が連携し、高い意識のもと管理しなければいけません。
ルールを決めてしっかり共有しながら、慎重に冷凍母乳を扱いましょう。