垣根のない動物園
ここには
クマさんがいます。
ライオンさんがいます。
キリンさんも、イルカさんも、カバさんも・・・
まるで大きな動物園
でも・・・
パンダさんは笹を食べません。
カバさんにはキバがありません。
チョウチョさんは空を飛びません。
どうして??
そう、ここはこども園
保育士さんの名前を【 動物のニックネーム 】で呼び合うこども園だから。
そんな面白い取り組みをしているのが
今回紹介するこども園
「社会福祉法人 モンチ優愛会」
滋賀県に三園を運営する法人
草津市、湖南市、野洲市にこども園があります。
今回の取材にあたり、くさつ園で3園の職員さん達に集まって頂きました。
座談会のスタートです!
あらいぐまさん(向かって左)
保育歴:3年目
勤務地:野洲園
大好きな先輩から学んだ「笑顔」を大切に保育しています!
わにさん(向かって左から二人目)
保育歴:1年目
勤務地:菩提寺園
最近のおすすめ絵本は「もったいないばあさん」です!
あひるさん(中央)
保育歴:3年目
勤務地:くさつ園
毎朝こども達と必ずハグして信頼関係を深めています!
ひよこさん(向かって右から二人目)
保育歴:2年目
勤務地:くさつ園
マイブームは草津川跡地公園でスケートボードをすることです!
つばめさん(向かって右)
保育歴:3年目
勤務地:くさつ園
学生時代はマーチング部に所属。部活に一生懸命な日々を過ごしていました!
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●—モンチさんと言えば、職員さんを動物のニックネームで呼び合う
面白い取り組みをされていますよね。
あひるさん:
保育教諭の名前を〇〇先生ではなく
園児、保護者さんからは動物のニックネームで呼んでもらっています。
ちなみに職員同士もです。
例えば園長は、くまさん。主任はかめさんというように。
ニックネームは自分で好きなものをつけるんです。
もちろん小学校に行くまでに大切なことですので「先生」と呼ぶ経験もしてもらいます。
●—この試みを実際にされていかがですか?
ひよこさん:
最初はびっくりしました。
「ひよこさん!」って呼びかけられても反応できませんでした。笑
でも子どもたちも本名より、動物の名前の方が覚えやすいかなとも思うので、呼んでくれると嬉しいですし、距離間がぐっと近い気がします。
あらいぐまさん:
私はあらいぐまさんという名前があることでオンオフが切りかえられています。
あとは、先生!っていうより暖かい雰囲気が自然にでているような感じがしています。
●—では、三園それぞれの園についてお伺いできますか?
あひるさん:
モンチは、基本的には日常保育を大切にしているこども園です。
くさつ園では、特にコーナー遊びを大切にしています。廊下にはグーパージャンプのコーナー、おままごとコーナー、動物歩きのコーナー、鉄棒のコーナーとかいろいろあります。
お帰りの時に子ども達が、コーナー遊びを通して下の子が上の子の真似をして、逆上がりやジャンプに挑戦しています。
つばめさん:
そうそう!最近だと特に運動会前はすごかったよね!
鉄棒に子ども達が群がっていました。
あらいぐまさん:
・野洲園は園児数60名ほどの少規模なので、子どもたちとゆったり関われるこども園です。他のクラスとの距離感も近いので、いろんなクラスの子どもたちが「おはよー!」とあいさつをしてくれます。自分のクラス以外の子たちとも触れ合う機会があります。
わにさん:
・菩提寺も同じです。朝の体操とかも0歳から6歳までみんな庭に集まり毎朝顔を合わせるので、担任とか関係なくいろんな子どもたちと関われるのがいいなと思います。
広い園庭もあって空気も綺麗な環境も良いところです。
●— 行事などは、それぞれの園で違いはあるのでしょうか?
あひるさん:
行う行事は基本的に同じですが、その内容は三園で様々です。
先日は運動会がちょうど終わったところです。
●—運動会はいかがでしたか?
ひよこさん:
モンチでは、毎年運動会にテーマを設けているんです。
今年のくさつ園は「ヒーロー」でした。
弱虫ヒーローが、子どもたちの頑張りによってヒーローメーターが上がって
強くたくましくなっていくという物語を作りました。
子ども達がアンパンマンや、ミニオン、桃太郎などの仮装をして競技をします。
あらいぐまさん:
くさつ園も面白いですよね!私たち野洲園のテーマは「職業」です。
パティシエになりきってダンスをして、ケーキを完成させるような振付にしたり
親子競技では、宅急便屋さんになって荷物を運ぶようにしたり。
わにさん:
菩提寺園は「つなぐ」がテーマでした。
例えばカレーづくりをテーマにして
障害走と親子競技を組み合わせて連動させて、最終的にカレーが完成するようにしたり。
色んな「つなぐ」の意味を持たせて競技をしました。
●—どの園も工夫を凝らしていますね!
日々保育に一生懸命な皆さんですが、保育をするうえで大事にしていることはありますか?
ひよこさん:
困った時とか、失敗した時に、ひよこさんになら言おう!という存在になりたいです。
優しいだけではなく、ホントに子どものことを思う行動をすればきっと
子ども達にも伝わるのかなと思って接しています。
つばめさん:
私は、大人だからと言って上から目線で言うのではなく良い意味で対等で
いたいと思っています。
●—今日もかけっこしている姿を拝見しましたが、本気でしたね!
つばめさん:
そうなんです。本気です(笑)
トランプだってかけっこだって「絶対負けへん!」って子どもに言って
いつも真剣勝負です。
ひよこさん:
5歳児さんいつもそれで盛り上がってますよね!
つばめさん:
そうそう。真剣勝負で私に勝てたら子ども達すごい嬉しいみたいで
勝った子は皆に自慢しています(笑)
私も悔しがりますけど(笑)
●—では、仕事をされるなかで大変なこと、やりがいについてお伺いできますか?
つばめさん:
こども園は一年の流れがあるので、逆算しながら保育や行事を考えていかないといけない
大変さは感じています。
今回の運動会も事前に色々と準備を進めていたんです。
毎年どこか本番でうまくいかないことがあって臨んだ5歳児最後の運動会だったんですけど今までで一番上手に発表できたんです!
本番に強い子ども達の力に驚きましたし、達成感を感じている子ども達の表情を
見るとグッときて涙がでました。
あらいぐまさん:
私は、クラスを4人の職員でみています。どうしてもシフトの兼ね合いもあって
職員みんなで話し合いたいのに時間がとれないというもどかしさはありますね。
でも4人いるからこそ困ったこと、嬉しいことを共有できるのはすごく嬉しいです。
一般の会社勤めだと、あまり大きな声で笑っちゃいけないのかなとも思うんですけど、この仕事だからこそ大きな声で笑ってもいいのかなって思って、それはすごい良い所だと思います。子ども達からも「あらいぐまさんたち楽しそうだね~」って言われることもあります(笑)
●—職員のコミュニケーションは大切ですよね。
他の方々は職員間の人間関係はいかがですか?
わにさん:
一緒のクラスの先輩のかばさんが一年目はいっぱい分からないことがあると思うけど、どんどん聞いてね!と言ってくれたのがとても心強く感じています。
あらいぐまさん:
私も先輩方にはたくさん教えてもらっています。
なかでもこぶたさんが、いつもニコニコしていて、すごく丁寧に
仕事を教えて下さいます。
今はクラスが離れていますが、すごく気にかけてくれています。
プライベートでもご飯を一緒に連れていって下さることもあります。
あひるさん:
私たち(あひるさん・つばめさん・ひよこさん)も歳が近いのもあって
プライベートでもよく遊びますよ。
ひよこさん:
ボルダリングしましたよね!
草津イオンの近くにあるんです。最近ちょっと行けてないですけど・・・(笑)
ツバメさんがよくここ行こう!と誘ってくれるんです。
●—プライベートのお話がでましたが、皆さんにとってリフレッシュ方法はありますか?
わにさん:
最近だとシルク・ドゥ・ソレイユの「キュリオス」にハマって、月に2回観に行きました。
DVDも買っちゃいました(笑)
すごく感動するのでおすすめです!
あひるさん:
私は旅行が好きです!最近はプーケットに行きました。
来年は10連休があるので、どこに旅行に行くの計画中です!
有休も結構取りやすいので、すごく有り難いです。
●最後に皆さんにとってモンチさんはどんなところですか?
あひるさん:
良い意味で厳しい上下関係がないところです。
仕事に関しても、しっかり考えて目的があれば自由に保育させてもらっています。
何かに縛られるというのが少ない園なので、子どもは子どもらしく自由に過ごせてるんじゃないかなと思います。
つばめさん:
自分のクラスだけではなく他のクラスとの関わりがもてることです。
他の職員と休憩室でも良く話しますし、それぞれのクラスが孤立してない、全部のクラスが職員の中で繋がっています。
そういう繋がりがあるからこそ、子ども達もいろんな子どもや職員(大人)と関わりを
持てていることは本当に良いところだと思います。
●たくさんのお話を聞かせて頂き本当にありがとうございました。
保育教諭—–子ども
先輩—–後輩
自分のクラス—–他のクラス
それぞれの組織やパーソナリティーをしっかり理解、尊重し、
その関係性は明確になっています。
しかし、それらを遮るネガティブなものはありません。
まるでここは
『垣根のない動物園のよう』
垣根がなくても、皆がいきいきと過ごせる環境がここにはあります。
『保育教諭が「先生」と呼ばれることによって「教える立場」になるのではなく、
上下関係もなく仲間意識のなかで、常に「保育、子育てを学び合いたい」』
動物のニックネームで呼び合う理由は、園長のこの言葉にあります。
その思いが現場に浸透していることを、今回インタビューをした保育教諭の皆さんの
言葉の端々から感じ取ることができました。
取材にご協力頂きました職員の皆様ありがとうございます!
●くさつ優愛保育園モンチ
addres:滋賀県草津市南笠町777番地
Tel:077-535-6694
●野洲優愛保育園モンチ
addres:滋賀県野洲市小篠原2192-2 グラン・ブルー野洲Ⅱ 101号
Tel:077-586-1038
●菩提寺優愛保育園モンチ
addres:滋賀県湖南市菩提寺東3丁目8-8
Tel:0748-74-3220
ライター:写真/野間直樹 保育コンシェルジュ