一回雇ったら、もう家族やね
昔は当たり前だった終身雇用。
働く側も、雇用する側もそれが当たり前。
今でこそ、転職することは「悪いこと」ではなく、
むしろ、自分のキャリアアップのために「転職」という道を
選ぶ人も少なくない。
でも、
雇用主としては「一回雇ったら家族」という思いを持って、
真剣に向き合っていたい。
それが雇用主としての心構え。
堅苦しい言い方をすると、こんな感じ。
でもそんな難しい話ではなく、
ただただ、
あったかい雰囲気の中で、
いろんなことに触れあって、支え合って、
嬉しいことも、悲しいことも、
楽しいことも、ツライことも、
一緒に感じていく。
園長先生がおじいちゃん。
主任先生がお母さん。
職員さんが娘たち。
そんな大家族の魅力、ほんの一部ですが、ご紹介します。
京都市右京区太秦。
古くから、映画やドラマなどの撮影所がいくつかあり、
少し歩いていると、芸能人とばったり出会うことも。
東映太秦映画村というワードを聞いたことがある人もいるだろう。
JR太秦駅から5分ほど歩いたところで、大きな庭園が見えてくる。
ここが今回の保育園、ときわ保育園。
門を入ると、大きな前庭があり、季節の植物や木々が植えられていて、
手入れもしっかりされている。園児さんも大好きな場所。
まずお話しをお伺いしたのは、
現場で働く、保育士歴5年目のナイ先生と3年目のヒロ先生。
お二人とも短大を卒業後、ときわ保育園に入職されたそう。
(写真、手前がヒロ先生。奥がナイ先生)
まずはお二人が保育士として、
普段から大切に思っていることから伺ってみた。
ヒロ先生 「子ども達に対しては、気持ちを大事にしてあげたいです。その子がどう思っているか、を汲み取ってあげたい。保護者には、園での子ども達の様子をしっかり伝えていって、安心してもらいたいです。何気ない、おもしろい言動とか、伝えたいんです。」
ナイ先生 「子ども達に対しては、丁寧に愛情たっぷりに関わりたいです。とにかく丁寧に。私、雑なんで、、、笑 保護者に対しては、園の方針や声かけの仕方などを伝えていって、しっかりと連携が取れるようにと心がけています。」
インタビュー時、お二人ともとてもニコニコされていて、
子ども達のこと、大好きなんだなーというのがすごく伝わってきた。
優しさの中に、しっかりとした強さも感じられる。
そんなお二人。
次に、ときわ保育園で働くことを決めた理由を聞いてみた。
ヒロ先生 「園長先生の畑や、自然のものとたくさん触れ合えるからです」
ナイ先生 「園庭が広いことと、やっぱり畑や自然かなー」
・・・そうなんです。
ときわ保育園の隣には大きな畑がある。
園長先生が心を込めてお世話をされている大きな畑。
季節の野菜がたくさん収穫できるそう。
京都市内の別の保育園さんが、この畑までやってきて、
さつまいも堀りをすることもある。
もちろん、ときわ保育園の園児さんたちも、自分達でお世話をして、
収穫して、それが給食に出てくる。
寒い冬でも、大きな大根を収穫して、泥を落とす。
冷たい水にも負けず、たわしでゴシゴシ。
皆でキャッキャ言いながらやっている姿が想像出来る。
都会ではなかなか触れ合うことが出来ない自然。
畑での収穫だけでなく、園の中にもたくさんの果物があるし、
栗拾いにだって行く。
そんな環境がお二人にはとても魅力的に見えた、という。
ほかにも、ときわ保育園の魅力について、語ってもらった。
■保育園の中で一番好きな場所は?
ナイ先生 「前庭です。春は、しだれ桜。ぼたん桜。秋は、もみじ。ハナミズキ。金木犀もあり、いろいろ楽しめて、子ども達も大好きな場所なんです。」
ヒロ先生 「園庭です。子ども達がのびのび遊べる広さがいいです。」
■先生同士の団結力や結束力を感じるのはどんな時ですか?
ナイ先生、ヒロ先生 「お休みの先生が出た時に、全員の先生がパパッと臨機応変に動いて、状況を把握して、自分のすべきことをする姿です。行事の時の連携もすごいです。」
■新しい先生が入ってきた時に、どのようなことに気をつけながら接していますか?
ナイ先生 「コミュニケーションを積極的に取るように心がけています。子どものことや、何気ないくだらない話を楽しんだりしています。あと、行事のことや毎日の保育の流れなど、知らなくて当たり前なので、前もって伝えていけるようにしています。あの先生、知らないだろうな、というのを先回りして気付いて、伝えていこうと思っています。」
ヒロ先生 「私が1年目のときに教えてもらったことを、伝えていけるようにしたいと思っています。もし悩んでしまっている先生がいたら、アドバイスとかはまだ私には出来ないかもしれないけど、聞くことは出来ます。私が悩んでいた時もそうしてもらえました。」
いろいろな質問を通して一番感じたのは、
「自分達がこうしてもらったから、新しい人にもこうしてあげたい。」
という想いだった。
その積み重ねがあるから、
先生たちの連携が出来上がっていくのだと思う。
では、ちょっと趣向を変えて、、、
最近ハマッているものや趣味を聞いてみた。
ナイ先生 「ピアノを習っています。ピアノ歴21年。今でも月3回通っています。あとはドラゴンボール超!子ども達と話が合います!」
ヒロ先生 「旅行が好きです。泊まりでユニバに行ったり♪あとはトランペットをやってます。子どもたちの前で吹いたりしています。」
■社会人になってから、自分へのご褒美に何かしたことはありますか?
ナイ先生 「中型のバイクを買いました!このバイクで通勤しています。」
■5年後、自分はどうなっていたいですか?
ナイ先生、ヒロ先生 「自分の子どもがいたらいいなー!笑」
お二人とも素敵な笑顔でいろんなことを話してくれる。
保育の様子も見学したが、子どもたちからも信頼されている様子が
とてもよく伝わってくる。
主任をされている、直美先生にもお話しをお伺いした。
■先生が思う、ときわ保育園の良いところは?
直美先生 「やっぱり広い園庭や、園長先生の畑かなー。子どもたちが自分で体験することが出来る、というのは魅力だと思う。イチゴやさつまいもだけでなく、玉ねぎや大根などを実際に自分で収穫するという経験は良いこと。夏みかんやキウイなんかもあるよ。落花生がどういう風に育っているか、親御さんよりも子どもたちの方が詳しかったりするしね。落花生は収穫したあとに干すけど、その落花生を鳥から守るのは年長組さんの当番!こらーって言ってはる!笑」
■主任先生という立場で、職員さんと接するときに大切にされていることは?
直美先生 「こっちから積極的に話しかけて、何かあった時に相談をしにくい存在ではないようにしたい。」
やはり、先輩や上司にあたる人がそういう考えでいてくれることは、
非常にありがたいこと。また、そのことを後輩がちゃんと理解している、
というのがこのときわ保育園の素晴らしい文化だなぁと感じた。
■どんな先生と一緒に働きたいと思いますか?
直美先生 「明るい人。やっぱり保育士って技術がどうだ、とかよりも、明るくて、いつも笑顔でいられる人の方が向いていると思うし、子ども達もそういう先生の方に惹き付けられるしね。技術はあとからついてくるよ。」
最後に、印象に残った言葉がある。
「園長先生は昔から、一回雇ったら家族やからねって言ってた。今では園長先生がおじいちゃん。私がお母さん。先生たちが娘、という感じかな。」
あったかい雰囲気の中で、
いろんなことに触れあって、支え合って、
嬉しいことも、悲しいことも、
楽しいことも、ツライことも、
一緒に感じていく。
一緒に感じてくれる人がそばにいてくれている。
その姿はまるで一つの大きな家族のようだ。
すでに出来上がっている輪の中に入っていくのは
簡単なことではないかもしれない。
でも、手を広げて待っててくれて、
受け止めてくれる人がいるのであれば、
どうだろうか。
あとは、キッカケだけ。
今回の取材が、そのキッカケの一つになれば幸いだ。
ライター:義村 直人 コンシェルジュ