2025.5.19
保育士の働き方比較!正社員・派遣・パートそれぞれの特徴と選び方
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保育業界で働くあなた、またはこれから保育士を目指すあなたはどんな働き方が理想ですか?
実は保育士の働き方には、正社員、派遣、パートといった形があり、それぞれに特徴やメリット、デメリットがあります。
本記事ではそれらの違いを詳しく掘り下げながら、自分に合った働き方を考えるヒントをお届けします。
正社員・派遣・パートの保育士
保育士の雇用形態は「正社員」「派遣」「パート」の3つが一般的です。それぞれに働き方の特徴があり、条件やメリットが違います。
この章では、各雇用形態の基本的な特徴を簡単にまとめ、基礎知識を解説します。
正社員保育士
正社員保育士は給与面で安定しているだけでなく、社会保険やボーナスなどの福利厚生がしっかりしています。
また、長期的に雇用されるので、将来のキャリア形成を考えやすいです。
一方で、責任が大きい役割を担うことが多く、クラス担任や行事の企画など日常業務に加え、保育計画書の作成や保護者対応なども必要です。
勤務外での作業や残業が発生しやすく、勤務時間外に仕事を抱えるデメリットがあります。
派遣保育士
派遣保育士は保育園の運営業者ではなく派遣会社に雇われて働きます。
勤務先の保育園と直接雇用契約を結ぶ正社員やパートとは違い、派遣会社が間に入ることで、自由度の高い働き方ができます。
時給制で働き、短時間や特定の曜日で希望を出しやすいです。
また、契約期間が決まっており、同じ職場で働き続けることを望まない方にも適しています。
正社員に比べて残業や持ち帰りの仕事がほぼなく、ワークライフバランスを重視できる働き方として人気があります。
同じ職場で働ける期間には上限があり(原則最長3年)、長期的なキャリア形成を目指す場合には向いていないかもしれません。
また、ボーナスが支給されないことがほとんどで、年収はやや低めです。
パート保育士
パート保育士はライフスタイルに合わせて柔軟な働き方ができます。
子育て中でフルタイムの仕事が難しい方や、子どもが学校に通っている間だけ働きたい方に選ばれています。
時給制で、希望の時間帯や曜日を指定できる求人も多く、短時間勤務ができます。
ただし、収入は正社員や派遣保育士に比べると低くなることが多いです。
福利厚生も一部となり、勤務時間や日数が一定基準を満たさない場合、社会保険やボーナスの対象外となることが一般的です。
※勤務時間が週20時間以上、かつ一定の収入や勤務期間があれば社会保険に加入できるケースもあります。
業務内容は正社員保育士の補助が中心です。遊び時間のサポートや食事の準備、掃除といった業務です。
クラス担任を持つことは基本的にありませんが、働く園によって業務範囲が違うので応募前に確認しましょう。
比較表
雇用形態 | 特徴 | メリット | デメリット |
正社員保育士 | 長期雇用が前提で、社会保険やボーナスなど充実 | 安定した収入とキャリア形成が可能 | 残業や持ち帰り業務があり、責任範囲が広い |
派遣保育士 | 有期雇用で就業先が派遣会社。自由なシフトが可能 | 時給が高く、残業が少ない。柔軟な働き方が可能 | ボーナスなし。3年間の勤務上限がある |
パート保育士 | 時間や曜日を自由に設定可能 | 家事や育児との両立がしやすい | 給与・福利厚生面での不安が残る |
メリットとデメリット
保育士の働き方には正社員、派遣、パートの3つがあることを前章で解説しましたが、それぞれの働き方には大きなメリットとデメリットがあります。
正社員保育士のメリットとデメリット
メリット
1. 安定した収入と福利厚生 正社員保育士の最大の利点は給与が安定し、社会保険やボーナスなどの福利厚生が充実していることです。長期雇用が保証され、退職金の支給がある場合も多いので将来設計が立てやすい働き方です。
2. キャリアアップの可能性 正社員は役職に就くチャンスが広がり、キャリアアップを目指せます。園長や主任保育士といったポジションを目指したい人は長期間同じ職場で貢献できる正社員が有利です。
3. 園の運営に深く関わることができる 正社員保育士はクラス担任や保護者対応といった重要な業務を担当することになります。そのため、子どもたちやその家庭とのコミュニケーションを深められる点が魅力です。
デメリット
1. 残業や持ち帰り業務が発生する 行事や緊急対応などで勤務外の時間に作業を求められることが多いです。特に持ち帰り業務は家に帰ってからも仕事に追われます。
2. 責任が重い クラス担任や園の方針作成、保護者対応など、業務内容が複雑で多岐にわたり、心理的な負担が大きくなることもあります。
派遣保育士のメリットとデメリット
メリット
1. 働き方の自由度が高い 派遣保育士は自分で希望する勤務時間や曜日を指定することができます。「1日6時間だけ働きたい」「週3日勤務が良い」といった要望に応じて派遣会社が職場をマッチングしてくれるため、ライフスタイルを重視した働き方ができます。
2. 時給が高い 派遣保育士は正社員やパートよりも時給が高いケースが多く、短時間でも効率よく収入を得られます。
3. 人間関係のしがらみが少ない 派遣契約に期限があるため、職場の雰囲気が合わなければ契約を更新せずに次の職場に移ることもあります。人間関係のストレスを避けやすいのも特徴です。
デメリット
1. ボーナスや昇給が期待できない 派遣保育士にはボーナスはなく、時給に基づいて支払われるため、総収入は低くなりやすいです。
2. キャリアアップが難しい 担任業務や責任のあるポジションに就きにくいため、スキルアップを目指したい人には不向きです。また、同じ派遣先の事業所で、同じ業務を継続して行える期間は原則3年間と法律で定められています(労働者派遣法 第40条の2)。※ただし、派遣先の同意や別業務への切替により継続が可能なケースもあります。
パート保育士のメリットとデメリット
メリット
1. 生活状況に合わせて働ける パート保育士は短時間勤務や週数回の勤務ができ、子育てや家事との両立がしやすいです。「午前中だけ働きたい」「週末は家族と過ごしたい」といったニーズに応じたシフト調整ができます。
2. ストレスの少ない業務内容 基本的にクラス担任のような責任の大きな役割を負わないため、気軽に仕事に取り組めるのが特徴です。遊び時間のサポートや雑務が中心となるため、心理的な負荷が少ないです。
デメリット
1. 給与が低い パート保育士の時給は派遣保育士に比べて低いのが一般的です。また、短時間勤務であることが多いため、月収や年収の総額が少なくなります。
2. 成長・キャリアの機会が限られる パート保育士はフルタイムでの契約が少なく、責任の大きい役割や積極的なキャリア形成が難しいです。家庭の事情で制約がある場合にはメリットと捉えられますが、長期的にキャリアを積んでいきたい方には物足りないかもしれません。
選び方
それぞれの働き方には特有の強みと弱みがあります。
・安定したキャリア形成や昇進を目指す→「正社員」
・働き方に柔軟性を持ちながら高時給を希望→「派遣」
・短時間で家庭と両立しつつ気軽に働きたい→「パート」
自分に合った働き方を選ぶための基準を深めてみてはいかがでしょうか。
派遣保育士の実際
派遣保育士の働き方は「自由度が高い」「自分のペースで働ける」などの多くのメリットがあるとされていますが、実際に働いている方々の声や具体例を聞いてみましょう。
この章では、派遣保育士として働く方々の実体験や感じている柔軟性について取り上げるとともに、どんな人に向いている働き方なのかをご紹介します。
派遣保育士のある一日
派遣保育士の1日のスケジュール例をご紹介しましょう。以下は、都会の中規模保育園で勤務する派遣保育士Eさん(30代)のケースです。
【1日の流れ(週5日フルタイム勤務の場合)】
・08:30:出勤 朝の会が始まる前に子どもたちを迎え、身支度のサポートを行います。
・09:30:朝の活動サポート 他の保育士とともにお散歩や製作活動の準備をします。散歩中の子どもたちの安全を見守る仕事が中心です。
・12:00:昼休憩 派遣保育士は休憩時間中も基本的に仕事を持ち込むことはありません。しっかりとリフレッシュすることができる環境。
・13:30:お昼寝準備と保育補助 子どもたちが寝ている間、連絡帳の記入補助や園の片付け・消毒作業を行います。
・16:00:おやつ時間とお迎え準備 園児の保護者への引き渡しを他の保育士と協力して進めます。
・17:30:定時退勤 派遣契約に基づき基本的に残業なしで退勤。イレギュラーな問題が発生した場合でも、契約に基づいた勤務管理が徹底していて定時退勤。
派遣保育士の実例
出産後復職したKさん(40代女性)
「私はずっと正社員で働いていましたが、二人目の子どもが生まれた時に家庭との両立が難しくなり退職しました。その後、家庭の事情が落ち着いてきたこともあり、短時間から始められる派遣保育士として仕事に復帰することを選択。派遣会社が私の希望条件に合う園を見つけてくれて本当に助かりました。自由な時間が取れて育児も仕事も両立できており、非常に満足しています。」
ポイント: 派遣保育士は家庭とのバランスを重視する方にとって理想的な働き方の1つです。希望の時間や条件で勤務できるので、ライフイベント後の復職にも対応しやすいです。
キャリア探求中のTさん(30代男性)
「私はスキルを磨きながら、全国の色々な保育園で働いてみたいという希望がありました。派遣保育士は契約期間ごとに違う園で経験が積める点がとても魅力的です。おかげで様々な規模園の運営方法や保育方針に触れることができて視野が広がりました。新しい人間関係を作るのも刺激的で、毎回新鮮な気持ちで働けます。」
ポイント: 派遣保育士は1つの職場に縛られることなく、異なる園で経験を積むことができます。特に「キャリアの選択肢を広げたい」と考える方に向いています。
一時的に副業として働くSさん(20代女性)
「本来の仕事はフリーランスですが、新しいスキルを得たいと考えて保育士資格を活かして派遣で働いています。短期間の契約もできるので、本業とバッティングしない点が魅力です。残業が少なく、集中して仕事を終えて自分の好きな時間に戻れることが何より嬉しいですね。」
ポイント: 派遣保育士であれば、副業や他の活動と両立できます。
働き方の選び方
保育士の働き方を決めるには「今」と「将来」の両方を考えなければなりません。
ライフステージや目指すゴールに合わせて最適な働き方を選び、無理なくスキルを磨いて充実したキャリアを進められます。
この章では、自分にとって最適な働き方を見つけるための具体的なステップと考え方を解説します。
自分のライフステージを見つめ直す
まず考えるべきは現在のライフステージです。以下の質問で確認してください。
自問ポイント
・「家庭や育児との両立を考える必要があるか?」
・「今は集中してキャリアを築きたい時期なのか?」
・「時間的または体力的な制限はあるか?」
・「収入を優先するか、柔軟性を優先したいか?」
ライフステージ別
・独身またはキャリア重視の場合:正社員や派遣
・育児中や家族優先の場合:パートや派遣
・状況に応じて転職を柔軟に検討したい場合:派遣
現状を見つめ、無理なく仕事と生活の両立を目指しましょう。
長期的なキャリアプランを考える
働き始める前に目指すキャリアのゴールを明確にしておくことも大切です。どんな保育士でありたいか、どんな人生を送りたいかをイメージすることが重要です。
ゴール例と働き方
・園長や主任を目指したい: 園全体の管理業務に関わりたい場合は、正社員として経験を積みましょう。
・分野別専門家になりたい: 障がい児保育や教育重視の園での経験など、特定分野のスキルや知識が得られます。
・柔軟なワークスタイルを確保したい: 効率よく収入を得ながらキャリアの幅を広げるため、派遣保育士として働くのがおすすめです。
長期のキャリアプランを具体的に描くことで、「どの働き方を選ぶか」がより明確になるでしょう。
必要な条件と優先順位をリスト化する
仕事に何を求めるのかを明確にし、その条件をリスト化することも重要です。
条件リストの例
条件 | 優先度 |
安定した収入がほしい | 高い |
勤務先の自由度がある | 中程度 |
遠距離通勤を避けたい | 高い |
専門的なスキルを磨きたい | 低い |
福利厚生の充実を求める | 高い |
現時点の働き方を試してみる
「その選択肢が本当に合っているのか」は働いてみないとわからないものです。特に派遣保育士は短期間契約なので「合う・合わない」を判断する良い機会です。
ポイント
・派遣保育士として短期間から始めてみる: 正社員に切り替える前に派遣として複数の職場を経験して理想の環境を探す。
・パート保育士で無理なく始める: 家庭の状況などで不安がある場合も、短時間勤務で様子をうかがえます。
・正社員を目指すなら副業や研修を活用: 副業や自主的なスキルアップを図りながら正社員化へつなげる。
働いてみると自分自身が感じる「働きやすさ」や「やりがい」がわかりやすくなります。
スキルや学びの機会を最大限に活用
キャリア形成で大切なことは「今の自分に足りないスキルや知識は何か」を把握して動くことです。自治体や派遣会社の研修プログラムをうまく活用し、次のステップに備えます。
活用例
・キャリアアップ研修: 効果的な保育の方法論や特定分野の専門技術などが学べる講座に積極参加。
・異業種の知識を取り入れる: 英語や体操、リトミックなど、幅広い領域のスキルを学ぶ。
サポートを積極的に使う
働き方を選んだ後も園や派遣会社のサポートを活用することがキャリアの鍵となります。また、自分自身のケア(ワークライフバランス)も働き方にも大きく影響します。
サポート例
・派遣会社のカウンセラーに相談して希望にマッチする現場を継続的に提案してもらう
・転職の際には各種就職支援サービスを活用する
キャリアを考えて選ぶ
最終的には「自分がいちばん幸せを感じるスタイル」で働くことが最も大切です。
収入やキャリアの成長だけではなく、家族との時間やプライベートの充実も考慮した働き方は保育士としても、そして一人の個人としても豊かな人生を歩むことができるはずです。
派遣保育士を探すポイント
「派遣保育士として働いてみたいけれど、どこから始めればいいかわからない」という方も多いでしょう。
この章では、派遣保育士の仕事を探すポイントを紹介します。あなたの理想の保育士ライフを実現するための第一歩として参考にしてください。
派遣保育士を探すポイント
派遣保育士になるにはいくつかのステップがあります。
自分の希望条件を明確にする
まずは自分の希望条件を整理しましょう。
・どの時間帯(例:午前中のみ、フルタイムなど)で働きたいか?
・どれくらいの期間(短期、長期など)働きたいか?
・どの規模の保育園(大規模、小規模など)を希望するか?
・特定の地域や通勤時間に制限はあるか?
派遣会社の選び方
求人を探すには信頼できる派遣会社が欠かせません。
派遣会社ごとに得意とする地域や分野が違うので自分のニーズに合った会社を選びましょう。
チェックポイント
・派遣会社の得意エリア(都市部に強い、地方に強いなど)
・保育士専門の派遣会社かどうか
・カウンセリングやサポート体制の充実度
・登録者の口コミや評判
明確な契約内容を確認する
派遣は契約で雇用条件や業務範囲が明確に定められています。
希望していた業務内容と違うということがないように以下をしっかり確認しましょう。
・勤務時間や曜日、残業の有無
・時給、交通費の支給方法
・ボーナスや退職金の有無
・担当するクラスや役割
失敗しないためのコツ
複数の会社に登録する
一つの会社に絞らずに複数の派遣会社に登録すると条件の良い職場に出会える確率が上がります。
いくつかの会社に登録すると比較検討しやすくなります。
担当者とのコミュニケーション
派遣会社の担当者とのやり取りがスムーズであれば良い求人を紹介してもらいやすくなります。希望や不安を明確に伝え、信頼関係を築きましょう。
自分を活かせる職場を選ぶ
自分が得意とするスキルが活かせる職場かどうかも重要です。音楽や体操が得意であればそれを活かせる園を選びましょう。
派遣保育士になろう
保育士には「正社員」「派遣」「パート」という働き方があり、それぞれに特徴とメリットがあります。
本記事ではあなたのライフスタイルやキャリアの目標に合った働き方を選ぶポイントを紹介しました。
未来を描こう
働き方を選べる保育士だからこそ、自分に合ったスタイルを選べばキャリアの幅が広がり、充実した人生になります。
「どの選択肢が正しいか」ということで悩む必要はなく、「今の自分に一番合うもの」を選ぶことが大切です。
1. 条件リストを作成する あなたが「譲れない条件」と「妥協可能な条件」を明確にしましょう(例:勤務時間、勤務地、時給など)。
2. 登録してみる 派遣会社や求人サイトに登録し、オプションを確認してください。複数のサービスを比較して最適なものを選びましょう。
3. 小さな行動を起こす 最初から大きな挑戦をする必要はありません。「短時間」「短期間」から始めて、徐々にリズムをつかみましょう。
どんな働き方であっても、始めてみなければ分からないことがたくさんあります。
行動を起こすことでしか見えない景色や、自分にとっての新しい可能性がきっと広がるはずです。
小さな一歩が、あなたの保育士キャリアの新しい道を切り開く鍵となるでしょう。
あなたの理想の働き方、そして理想の未来が訪れることを心より応援しています。ぜひこの記事を参考に、一つの行動から始めてみてください!